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土嚢
「土嚢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
土嚢の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
かの仕切りを界《さかい》に、ただ一尺ほどの距離を取って戦《いくさ》をした。仕切は
土嚢《どのう》を積んで作ったとかA君から聞いたように覚えている。上から頭を出せば....
「趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
の敷いた鉄条網で足を容《い》るる余地もない。ところを梯子《はしご》を担《にな》い
土嚢《どのう》を背負《しょ》って区々《まちまち》に通り抜ける。工兵の切り開いた二....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
ったように、憤ろしく、意外に感じなかっただろうか? 三時間の後、工場は、堅固な
土嚢塁と、鉄条網と、拒馬によって、武装されてしまった。 機関銃が据えつけられた....
「あそび」より 著者:森鴎外
った。それで戦争に行ったことはない。しかし人の話に、壮烈な進撃とは云っても、実は
土嚢を翳して匍匐して行くこともあると聞いているのを思い出す。そして多少の興味を殺....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
れ、天井裏を露出し、火焔に焦げ、地獄のような形相を呈していたが、その他の町では、
土嚢の山と防空壕の建札と高射砲陣地がものものしいだけで、あとは閉った店がすこし目....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
の中に立っていた一人の若い女をかつぎあげて、クイクイの神の立っている前に、まるで
土嚢でもなげだすように荒っぽく、どんとおいた。 女は、悲鳴をあげながら、床の上....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
大《ばくだい》な砲兵隊は、今日いわゆる「ワーテルローの博物館」があるあの場所に、
土嚢《どのう》で隠されていた。ウェリントンはなおその上、ソマーセットの近衛竜騎兵....
「近藤勇と科学」より 著者:直木三十五
敵に蹂躙《じゅうりん》されそうにもなかった。 風呂敷、米俵の類を集めて、土俵、
土嚢《どのう》を造った。隊士も、百姓も、土を掘って米俵へつめては、篝火《かがりび....
「魔都」より 著者:久生十蘭
開けられ、寅造はその内部へ入る。
どこから集めて来たのか、窓という窓には古畳や
土嚢で厳重な防塞が施され、玄関を挾んだ左右の窓の窓枠の上に据えつけた二台のホッチ....
「墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
、竜太郎は、すっかり忘れていた……。 陸軍司令部の大きな鉄門の前には、物々しく
土嚢が積まれ、そこでもチェッコ機関銃が蒼黝い銃身をのぞかせていた。 竜太郎は、....
「生不動」より 著者:橘外男
げる何とも言えぬ異様な腥さがプウンと鼻を衝いて、人垣と人垣の間や往来に散らばった
土嚢のような蒲団の隙間から、ガヤガヤと黒い影が大声に罵り合っていた。 それでも....
「三国志」より 著者:吉川英治
なんといっても、主将の指揮するところが主力となる。 雲の梯にもまごう櫓を組み、
土嚢を積み、壕をうずめ、弩弓の乱射、ときの声、油の投げ柴、炎の投げ松明など――あ....
「三国志」より 著者:吉川英治
たちを導いて、樊城へ入れしめよ。また関羽は千余騎をひきいて、白河上流に埋伏して、
土嚢を築いて、流れをせき止めにかかれ」 孔明は、諸将の顔を見わたしながら、ここ....
「三国志」より 著者:吉川英治
一、携えたる各※の襟(衣)に足もとの土を掻き入れて土の嚢となせ。 二、兵一名に
土嚢一個の割に次々令に従って行軍せよ。 三、三江城の城壁下に至らば、土の嚢を積ん....