土埃[語句情報] » 土埃

「土埃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

土埃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
おぎん」より 著者:芥川竜之介
なる御威光《ごいこう》、大いなる御威勢《ごいせい》を以て天下《あまくだ》り給い、土埃《つちほこり》になりたる人々の色身《しきしん》を、もとの霊魂《アニマ》に併《....
少年」より 著者:芥川竜之介
は彼女をこう呼んでいた)は彼を顧みながら、人通りの少い道の上を指《ゆびさ》した。土埃《つちほこり》の乾いた道の上にはかなり太い線が一すじ、薄うすと向うへ走ってい....
恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
ょうね」 「ほいやっ、しっ!」 鞭が陽光の中にぴゅっと鳴った。馬車は煙のような土埃《つちぼこり》を上げて動きだした。そして、市街地から高原地帯の道へと、馬車は....
猟奇の街」より 著者:佐左木俊郎
ね?」 「…………」 彼女は頷《うなず》くようにお辞儀をした。 自動車は白い土埃《つちぼこり》を上げ、乾燥し切った秋の空気を切って日照りの街中を走った。 「....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
りに成る子とが互に長い槌を振上げて籾を打った。その音がトントンと地に響いて、白い土埃が立ち上った。母は手拭を冠り、手甲を着けて、稲の穂をこいては前にある箕の中へ....
三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
々の間を、足早に、奥の方へ入って行った。 十三 女狩右源太は、ぼこぼこ土埃《つちぼこり》の立つ街道を、俯きながらゆるゆると歩いていた。足は、南部の方へ....
放浪の宿」より 著者:里村欣三
を焙りつけていた。プラタナスの街路樹が、その広い掌のような葉身をぐったり萎めて、土埃りと、太陽の強い照りに弱り抜いて見えた。 街上には、動く影もなかった。アス....
震災日記より」より 著者:寺田寅彦
昼飯を食うつもりで出掛けたのであったが、あの地震を体験し下谷の方から吹上げて来る土埃りの臭を嗅いで大火を予想し東照宮の石燈籠のあの象棋倒しを眼前に見ても、それで....
次郎物語」より 著者:下村湖人
たに置き、彼を抱き起こしにかかった。 「おやっ。」 次郎を抱き起こしたお浜は、土埃にまみれた彼の鼻と唇のあたりに、ほんの僅かではあったが血がにじんでいるのを見....
決闘」より 著者:神西清
つづいて紫帽をいただき十字架を捧げた役僧。そのあとには百姓や女房や子供やの群集が土埃を立ててついて来る。役僧の妻君と自分の妻君が頭布をかぶって群集にまじっている....
呪われの家」より 著者:小酒井不木
るために、その文字を写真に撮影させた。 十数日来雨が降らなかったので、地面には土埃りがたまって居て、足跡もかなり沢山ついては居たが、多くの人々に踏みにじられた....
死の接吻」より 著者:小酒井不木
自殺することさえ厭になりかけて来た。 で、彼は図書館を出て、公園を歩いた。白い土埃が二|寸も三|寸もたまって居て、暑さは呼吸困難を起させるくらいはげしかった。....
不在地主」より 著者:小林多喜二
来る。 土方は皆褌一つで働いていた。身体は掘りかえして行く土より赭黒く焼けて、土埃のかかった背中を、汗が幾つにも筋を引いて、流れている。鮮人は百人近くいた。 ....
落日の光景」より 著者:外村繁
火を点ける。 今日は天気が好く、肌が汗ばむほど気温も高い。が、風が強く、空には土埃が舞い上っている。路上にも、歩きながら、顔に手をかざしている人、足を停め、風....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
である。 自動車は投げ出されたように傾いている。黒と灰色との巨大な昆虫だ。暑い土埃がふっかけて遠く白く奔ってゆく。運転手はまた同じような擦り減らしのタイヤと取....