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「土壇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

土壇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
花火」より 著者:太宰治
、または自殺か、いずれにしても、事件は簡単に片づくように見えた。けれども、決着の土壇場に、保険会社から横槍が出た。事件の再調査を申請して来たのである。その二年前....
鰊漁場」より 著者:島木健作
てこった。旦那に承諾だけさせていつも見てえに腮別れの前に金をもらう約束じゃ、その土壇場になって知らねえっていわれたってどうにもなるこってねえからな。……どうだ、....
深夜の市長」より 著者:海野十三
おお、君は誰だ!」 僕は中谷助役のために椅子の蔭から摘みだされた。――こういう土壇場にいよいよなってしまうと糞度胸の据わるのがまた吾輩の特性でもあった。 「僕....
」より 著者:金史良
私は尹書房を思い出すのだ。 尹さんは少しはましのチゲ(担具)労働者である。然し土壇場にまで突き込まれて、喜劇ならぬかわった意慾の生活を弄する点では、全く同じい....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
したが、彼も元より成算があっての事でなく、むしろ自暴自棄的の手段であった。最後の土壇場に来ても尚、跳起きて隙もあらば反噬しようとする彼の執念には只々舌を巻くの他....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
を手にとりあげました。 矢は各十本。 的は五寸。 落ちかかった夕陽が赤々と土壇のあたりに散り敷いて、心気もまたしんしんと澄み渡り、まことに競射にはこの上も....
安重根」より 著者:谷譲次
それを種に、おれたちの機密に食い込もうとしていたんだ。だから、いよいよというこの土壇場に、伊藤を殺っつける気なんかこれっぽっちもありゃあしない。(禹徳淳を見て)....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
うった女の死骸を、雪を掻いて膚におぶった、そ、その心持というものは、紅蓮大紅蓮の土壇とも、八寒地獄の磔柱とも、譬えように口も利けぬ。ただ吹雪に怪飛んで、亡者のご....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
天皇 持統天皇の御製で、藤原宮址は現在高市郡|鴨公村大字高殿小学校隣接の伝説地土壇を中心とする敷地であろうか。藤原宮は持統天皇の四年に高市皇子御視察、十二月天....
怪しの館」より 著者:国枝史郎
お前さんにしてからが、大して腕はないではないか」女の声も憎々しくなった。「こんな土壇場へ迫り詰まるまでいったい、何をしていたんだい」 「止せ!」といったものの男....
首頂戴」より 著者:国枝史郎
よいのに殺生な奴だ! どうせ捕れるに決っている。覚悟の出来ていない人間は、最後の土壇場で恥を掻く。……が、俺には却って幸い、どれこの隙に腹を切ろう」 左の脇腹....
桜の園」より 著者:神西清
てくれたのさ。ところで現在わたしは、ええ一つ、にせ札でも作ってやろうか、といった土壇場でな。……あさって三百十ルーブリ払わにゃならん……百三十はやっとできたが…....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
よいよ発射する位置にむかって、潜行をはじめるのです。 ところがねえ、さてという土壇場になってまた潜望鏡をだすと、なにしろ、船のほうは電光形の進路をとっている。....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
?」 早苗はその時、お悦の糸切り歯が怖ろしく思われたほど、彼女は退っ引きならぬ土壇場に立たされてしまった。 しばらく彼女は、瞳を定めて凝っと考えていたが、み....
美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
やまれば取りかえしのつかないような事になるし、しかも最早一日も荏苒していられない土壇場に押しつめられたような時代であった。幸にも、その時聖徳太子のような曠古の大....