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土壇場
「土壇場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
土壇場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「花火」より 著者:太宰治
、または自殺か、いずれにしても、事件は簡単に片づくように見えた。けれども、決着の
土壇場に、保険会社から横槍が出た。事件の再調査を申請して来たのである。その二年前....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
てこった。旦那に承諾だけさせていつも見てえに腮別れの前に金をもらう約束じゃ、その
土壇場になって知らねえっていわれたってどうにもなるこってねえからな。……どうだ、....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
おお、君は誰だ!」 僕は中谷助役のために椅子の蔭から摘みだされた。――こういう
土壇場にいよいよなってしまうと糞度胸の据わるのがまた吾輩の特性でもあった。 「僕....
「荷」より 著者:金史良
私は尹書房を思い出すのだ。 尹さんは少しはましのチゲ(担具)労働者である。然し
土壇場にまで突き込まれて、喜劇ならぬかわった意慾の生活を弄する点では、全く同じい....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
したが、彼も元より成算があっての事でなく、むしろ自暴自棄的の手段であった。最後の
土壇場に来ても尚、跳起きて隙もあらば反噬しようとする彼の執念には只々舌を巻くの他....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
繰返すのだから真にたまらないのであります。 こうして六人の人間は、やりきれない
土壇場《どたんば》に迫って、九死一生の思いをしているのに、ほかの連中は一向そのこ....
「安重根」より 著者:谷譲次
それを種に、おれたちの機密に食い込もうとしていたんだ。だから、いよいよというこの
土壇場に、伊藤を殺っつける気なんかこれっぽっちもありゃあしない。(禹徳淳を見て)....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
て面を外向けしめる。ふだんから牛の眼はどこを見てるのか解らないもんだ。この必死の
土壇場になっても、「赤い小山」は一たいどこを白眼んでるのか見当がつかない。青空と....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
られないような場合で、しかも是が非でも自分の信仰心を示さなくっちゃならないような
土壇場《どたんば》じゃないかい! おいどうだ、きょうだい、一理あるだろうじゃない....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
お前さんにしてからが、大して腕はないではないか」女の声も憎々しくなった。「こんな
土壇場へ迫り詰まるまでいったい、何をしていたんだい」 「止せ!」といったものの男....
「首頂戴」より 著者:国枝史郎
よいのに殺生な奴だ! どうせ捕れるに決っている。覚悟の出来ていない人間は、最後の
土壇場で恥を掻く。……が、俺には却って幸い、どれこの隙に腹を切ろう」 左の脇腹....
「桜の園」より 著者:神西清
てくれたのさ。ところで現在わたしは、ええ一つ、にせ札でも作ってやろうか、といった
土壇場でな。……あさって三百十ルーブリ払わにゃならん……百三十はやっとできたが…....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
よいよ発射する位置にむかって、潜行をはじめるのです。 ところがねえ、さてという
土壇場になってまた潜望鏡をだすと、なにしろ、船のほうは電光形の進路をとっている。....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
?」 早苗はその時、お悦の糸切り歯が怖ろしく思われたほど、彼女は退っ引きならぬ
土壇場に立たされてしまった。 しばらく彼女は、瞳を定めて凝っと考えていたが、み....
「美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
やまれば取りかえしのつかないような事になるし、しかも最早一日も荏苒していられない
土壇場に押しつめられたような時代であった。幸にも、その時聖徳太子のような曠古の大....