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「土左〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

土左の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
にマッチを摺《す》り、そろそろ浪打ち際を歩いて行った。 「やあ、気味が悪いなあ。土左衛門の足かと思った。」 それは半ば砂に埋《うず》まった遊泳靴《ゆうえいぐつ....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
だったが、仕合せとあすこにもやっていた、石船の船頭が見つけてね。さあ、御客様だ、土左衛門だと云う騒ぎで、早速橋詰の交番へ届けたんだろう。僕が通りかかった時にゃ、....
老妓抄」より 著者:岡本かの子
毎に相談しながら、のびのびになっているうちに、ある日川の向うに心中|態《てい》の土左衛門が流れて来たのだよ。人だかりの間から熟々《つくづく》眺めて来て男は云った....
本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
深淵などもあって、好奇《ものずき》に盥に乗って下《くだ》ろうものなら、二人や三人土左衛門と改名したかも知れぬのだ。盥が無くて仕合《しあわせ》仕合。 (二....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
しも今朝調べて来たのですが、鳥亀の亭主の安蔵というのは、去年の春の彼岸に下矢切で土左衛門になったそうで……。こうなると親分のいう通り、ちっと変な事になりそうです....
海底都市」より 著者:海野十三
からだにつけているのだ。これをとって素顔を見せたりすると、たちまちあっぷあっぷで土左衛門《どざえもん》と変名しなくてはならない。 そのときであった。僕はおどろ....
田端日記」より 著者:芥川竜之介
書いてある。面倒臭くなったから、それもやめにして腹んばいになって、小説を読んだ。土左衛門になりかかった男の心もちを、多少空想的に誇張して、面白く書いてある。こい....
時計屋敷の秘密」より 著者:海野十三
に姿を見せた者はひとりもなかった。 (おいてけぼりになって、こんなくらいところで土左衛門《どざえもん》になるのか、いやだなあ、うん、もっと、頭をはたらかせて、逃....
東京要塞」より 著者:海野十三
おう、どうしたどうした」 「いや、酔払いが、この堀の中に落っこって、もうすこしで土左衛門になるところだったよ。だいぶ傷をしているらしいから、その辺の病院まで搬ん....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
桁の上にも、死骸がいくつも転がっていた。下を見ると、赤土ににごった大川の水面に、土左衛門がプカプカ浮んでいた。その数は三、四十――いやもっともっと夥しかった。 ....
白光」より 著者:井上紅梅
の中に戦々兢々として叫んだ。 二日目の日中、西門から十五里の万流湖の中に一つの土左衛門を見た人があって大騒ぎとなり、終に地保の耳に達し、土地の者に引揚げさせて....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
政六年|甲寅十二月 日とある石の記念碑である。 「ほう、水死人の、そうか、謂わば土左衛門塚。」 「おっと船中にてさようなことを、」と鳥打はつむりを縮めて、 「や....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
せるばかりであった。 「あれ、なに? 」 菊子はこう叫んだ。 「なんだろうね、土左衛門のようだね」 「土左衛門と違うぜ! 私らも心中者じゃ。ちょっと待たっしゃ....
俗臭」より 著者:織田作之助
頓堀の雑閙をおしのけ、戎橋を渡り、心斎橋筋の方を走った。今の自分に女は助け舟だが土左衛門みたいに助けてもらって男が立とうか。土左衛門なら浮びもするが、俺は一生浮....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
、いつも多い釣師の連中は一人もそこに来ていなかった。その代りに杭の間には坊主頭の土左衛門が一人うつむけに浪にゆすられていた。…… 両国橋の袂にある表忠碑も昔に....