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「土臭い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

土臭いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
門である。刀はおれの魂であると、彼は平生から考えていた。八橋の意見について一旦は土臭い百姓に復《かえ》ったものの、本来の野性は心の奥にいつまでも忍んでいた。彼は....
ふもれすく」より 著者:辻潤
びのびした私立女学校へやってきたが、一年とは続かずとうとう野枝さんというはなはだ土臭い襟アカ娘のためにいわゆる生活を棒にふってしまったのだ。 無謀といえば随分....
菜の花」より 著者:小島烏水
か、臭いからして、私はこの花が好きだ、梅の匂いのように上品でないかも知れないが、土臭いのが堪まらなくいい。 併しながら「亡び行く生物」の中に、この菜の花が、次....
田舎教師」より 著者:田山花袋
、 「あれは、君、和尚さんの姪だよ。夏休みに東京から来てるんだよ。どうも、田舎の土臭い中に育った娘とは違うねえ。どこかハイカラのところがあるねえ」 こう言って....
新世帯」より 著者:徳田秋声
思われてならなかった。この寂れた淋しい町に、もう二月の以上も、大きい腹を抱えて、土臭い人たちと一緒にいることを思うと、それも可哀そうであった。ショボショボしたよ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
面に陣取って、舞台や天井、土間、貴顕のボックスと、ずっと見渡した時、吾着物の中で土臭い体が萎縮するように感じた。 幕が上った。十五六世紀の西洋の甲冑着けた士卒....
連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
別の巻「溝《どぶ》汲《く》むかざの隣いぶせき」の五句のごときも、事によると一種の土臭いにおいを中心として凝集した観念群を想像させる。 岱水《たいすい》について....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
まっ暗で、最初はなんにも見えないほどでした。私はこういう古い空き間に付きものの、土臭いような、腐ったような臭いにむせながら、しばらく立ち停まっているうちに、わた....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ついてからでもか」 「うむうむ、かえってそれをいいことにしてのう、今までのように土臭い若衆なんぞは、てんで相手にせず、中小姓《ちゅうこしょう》じゃの、用人じゃの....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
覗いて見ると、どの室にも碌な家具は置いてなく、冷え切って、洞然としていた。空気は土臭い匂いがして、場所は寒々として何もなかった、それがあまりに朝はやく起きて見た....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
と勝負しても常に負けた。頭をドンドン叩かれるのも痛いものであった。強く叩かれると土臭い匂いがする。それに反して、カタはうまかった。その頃カタのことをオモテといっ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
も人を圧するような、堪えられない感じがする上に、日光はほとんどここへ映し込まず、土臭い有毒らしい匂いがそこらにただよって、どこからともなしに吹いて来る冷たい風が....
かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
たるなれば上手にも下手にも出所はあるべしおれが遊ぶのだと思うはまだまだ金を愛しむ土臭い料見あれを遊ばせてやるのだと心得れば好かれぬまでも嫌われるはずはござらぬこ....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
この通りの純真なやつでね。」 なるほど――いや、非常な美人である。この辺の村の土臭い娘達に比しては…… * * * K青年は有頂....
百花園」より 著者:永井荷風
れて切株を残すばかりとなっていた。そして庭の隅々からは枯草や落葉を燬《や》く烟が土臭いにおいを園内に漲らせていた。 わたくしは友を顧みて、百花園を訪うのは花の....