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土質
「土質〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
土質の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
彼は首をすくめ、懐《ふとこ》ろ手をしながら、落葉や朽葉とともにぬかるみになった粘
土質の県道を、難渋《なんじゅう》し抜いて孵化場《ふかじょう》の方へと川沿いを溯《....
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
もなく、また浅瀬のような音でもない。たっぷりと水量《みずかさ》があって、それで粘
土質のほとんど壁を塗ったような深い溝を流れるので、水と水とがもつれてからまって、....
「神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
牛《かたつむり》のごとく平面に螺旋す。かくのごとく微細生物も、手水鉢や神池の石質
土質に従っていろいろと珍品奇種多きも、合祀のために一たび失われてまた見る能わざる....
「満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
の頃頭に毛の乏《とぼし》い男であった。無論老朽した禿《はげ》ではないのだが、まあ
土質《どしつ》の悪い草原のように、一面に青々とは茂らなかったのである。漢語でいう....
「三四郎」より 著者:夏目漱石
いた。ところへ汽車がごうと鳴って孟宗藪のすぐ下を通った。根太《ねだ》のぐあいか、
土質のせいか座敷が少し震えるようである。 三四郎は看病をやめて、座敷を見回した....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
物然たる不思議な性質から触れてゆこう。 ピルコマヨには、元来正確な流路がない。
土質が、やわらかな沖積層で岩石がなく、そのうえ、蛇行が甚しいために水勢もなく、絶....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
だ一度も降ろさないですね?」 「ええそうです」 下男が答えた。 「するとこの粘
土質の泥は新しいものだし、この附近は岩ばかりだし……」と東屋氏は私の方へ笑いなが....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
あるという。野にも、畠にも、今ではあの猛烈な雑草の蔓延しないところは無い。そして
土質を荒したり、固有の草地を制服したりしつつある。 屠牛の一 上田の....
「死のなかの風景」より 著者:原民喜
り抜かれている横穴の壕《ごう》へ人々は這入って行った。暗い足許《あしもと》には泥
土質の土塊《つちくれ》や水溜《みずたま》りがあって、歩き難《にく》かったが、奥へ....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
案が、このシップ――と彼は荒莫《こうばく》としたこの沿岸地を見まわすのだ。「元来
土質良好ならざれども」――ただ次の点にのぞみをかけ、かけずにはおれない財政状態に....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
てきいた。 東北のその地方は、数日来最後の炎暑が続いていて、ひどく暑かった。粘
土質の庭土は白く乾きあがって深い亀裂が入った。そして毎朝五時すぎというと紺碧の燦....
「黒い地帯」より 著者:佐左木俊郎
と云うような供給の対照を考慮に入れる必要は無かった。全国が供給の対照であった。粘
土質の土地を手放す者さえあれば、何時まで続くかわからない事業だった。 ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
作品でも、樹の一本一本を描き、リアルに描き、だがその樹の生えている山や林の地形と
土質にはふれられない。本質というものはさながら実在しないように扱われている。だか....
「追放されて」より 著者:神西清
形も、水に浸った柳の藪も、川波も、もうはっきり見分けられる。振り返って見ると、粘
土質の断崖があって、そのすぐ下に褐色の藁で葺いた小屋がある。崖の上の方には、村の....
「寺田先生の追憶」より 著者:中谷宇吉郎
のように完全に分離して氷の結晶として凍り出るのは、かなり微妙な熱的条件の均衡と、
土質の特異性とによるものなのである。それは広い意味での低温|膠質《こうしつ》物理....