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土饅頭
「土饅頭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
土饅頭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
太郎は、半ば無意識に辻《つじ》をまがった。辻には、石でまわりを積んだ一囲いの
土饅頭《どまんじゅう》があって、その上に石塔婆《せきとうば》が二本、並んで、午後....
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
た》をさしくべ、岩魚の串刺にしたやつを炙《あぶ》りながら、山林吏が、さっき捨てた
土饅頭は何だね、と案内の猟師に訊ねる、旦那、ありゃ飛騨の御大名の墳《はか》で、と....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
あの古塚というのであろう。ひときわ大きい杉の根本に高さ五、六尺ばかりかと思われる
土饅頭《どまんじゅう》のようなものが横たわっていて、その塚のあたりに鬼火のような....
「人間灰」より 著者:海野十三
た。墓標には女の名前が書いてあったが覚えていない。しかし墓は土をかけたばかりで、
土饅頭の形はまだ出来ていなかったこと。 (三)墓の側にはトラックの跡がついていた....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
そして、利用した。 三日目に、彼は、津浦線ガードの東北の畑地で、新しく盛られた
土饅頭の下から、埋められた惨殺体を発見した。 新らしい鍬のあとが明らかな
土饅頭....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
手ずから下げて裏へ回った。墓石はまだ建ててなく、風雨にさらされて黒くなった墓標が
土饅頭の上にさびしく立っている。父母も久しくお参りをせぬとみえて、花立ては割れて....
「旅日記から」より 著者:寺田寅彦
着て坊主頭に豚の尾をたらした小児が羊を繩でひいて遊んでいる。道ばたにところどころ
土饅頭があって、そのそばに煉瓦を三尺ぐらいの高さに長方形に積んだ低い家のような形....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
な気がした。遺骸《いがい》を郊外山腹にある先祖代々の墓地に葬った後、なまなましい
土饅頭《どまんじゅう》の前に仮の祭壇をしつらえ神官が簡単なのりとをあげた。自分は....
「海底都市」より 著者:海野十三
トロ族 僕は当惑《とうわく》の絶頂《ぜっちょう》にあった。 むくむくと、
土饅頭《どまんじゅう》のような怪物が、僕のまわりを這《は》いまわる。 へんに耳....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
、名を呼ぶ声にさまよい出でて、思わず謙三郎の墳墓なる埋葬地の間近に来り、心着けば
土饅頭のいまだ新らしく見ゆるにぞ、激しく往時を追懐して、無念、愛惜、絶望、悲惨、....
「地獄の使」より 著者:田中貢太郎
を一束折って来た。お爺さんはこの間亡くなったばかりで、寺の墓地になった小松の下の
土饅頭には、まだ鍬目が崩れずに立っていた。 老婆はその花束を裏の縁側へ置いて、....
「半日ある記」より 著者:寺田寅彦
る赤き菊|蝦夷菊堆し。とある杉垣の内を覗けば立ち並ぶ墓碑|苔黒き中にまだ生々しき
土饅頭一つ、その前にぬかずきて合掌せるは二十前後の女三人と稚き女の子一人、いずれ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
言葉をくりかえした。そして、ひきつけられるように墓に近づいて行った。 墓はまだ
土饅頭のままだったが、ところどころに、しめった落葉がぴったりとくっついていた。彼....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
ているところは支那兵の死骸でいっぱいであった、などとも言われ、城門の下のところに
土饅頭の小高いのが彼処此処にみられた。 松篁の行った時にはまだ骨がところどころ....
「あの世の入口」より 著者:知里真志保
の群を川底の砂がこすり、上方の群を日光がこがしている。村へ入ろうとする所に大きな
土饅頭、小さな
土饅頭が重なりあうように列をなして並んでいる。そのそばに男の墓標女....