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在りし
「在りし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
在りしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
、一ツなかろう、仮令《よし》あってもそれが墳墓であったことを、姉小路卿なる国司の
在りし世を忍ばせる石であったことを、誰が知ろう、月の世界に空気なく、日本アルプス....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
志を嗣ぎ、幾年の辛苦を以って、夜陰に之を水底より取り集め得たり
「此の宝、水底に
在りし事、凡そ二百五十年なり、貴重なる絵画、絹布等祖先の目録に存する者は、惜む可....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
相違も無く其室を描き得ん、予審判事の書記が寄れる卓子の足の下に転がりて酒瓶の栓の
在りし事をも記臆し、其栓はコロップにて其一端に青き封蝋の存したる事すらも忘れず、....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
、名前も出まいて。ただ一名戦死とばかりか。兵一名! 嗟矣彼の犬のようなものだな。
在りし昔が顕然と目前に浮ぶ。これはズッと昔の事、尤もな、昔の事と思われるのは是ば....
「創生記」より 著者:太宰治
をうらまず独り、われ、厳酷の精進、これわが作家行動十年来の金科玉条、苦しみの底に
在りし一夜も、ひそかにわれを慰め、しずかに微笑ませたこと再三ならずございました。....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
故に伴鐵太郎なる者を知るやと問うたり。然るに伴鐵太郎の二男なりと。予は甞て長崎に
在りし時、幕府の軍艦にて咸臨丸は長崎滞泊中は該艦に乗組の医官無くして、予は臨時傭....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
らだの形、それは死の影によって更に浄められ、さらに神聖になっていたとはいえ、世に
在りし時よりも更に肉感的になって、誰が見てもただ睡っているとしか思われないのでし....
「鵞湖仙人」より 著者:国枝史郎
った。 武士のあわれなる あわれなる武士の将 霊こそは悲しけれ うずもれしその柩
在りし頃たたかいぬ いまは無し古骨の地 下ざまの愚なる つつしめよ。おお必ず 不....
「墓」より 著者:秋田滋
たくしの念頭につきまとって、どうしても離れません。たとえその肉体は腐っていても、
在りし日の面影は認められるであろう。わたくしにはそんな気がいたしました。そして、....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
して通路をつくり、私たちの通過を待つではないか! なんたる礼節! 古代日本はかく
在りしか。見上げたる神々の子孫よ。と思いつつ敬々しくかの車を通過すれば、この車に....
「起ち上る大阪」より 著者:織田作之助
の顔は或は古く或は新しくさまざまな粧いを凝らしていたものだが、今日の大阪はすでに
在りし日のそうした化粧しない、いわゆる素顔である。つまりは、素顔の中に泛んだ表情....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
が、藍青の裾を長くひいた山々は、過ぎし日の温容そのままで、わが亡き父母に代わって
在りし日の想い出を、私に物語るのではないか。 なんでこんなよい日本を人手に渡せ....
「瘠我慢の説」より 著者:木村芥舟
ものなり。 当時、諭吉は旧中津藩の士族にして、夙に洋学に志し江戸に来て藩邸内に
在りしが、軍艦の遠洋航海を聞き、外行の念自から禁ずる能わず。すなわち紹介を求めて....
「明治哲学界の回顧」より 著者:井上哲次郎
に至らなければならないのである。ところが、カントでさえもやはり現象を実在の彼岸に
在りしとして、現象界にのみ応用さるべき空間の図式を、現象界の彼岸に応用して実在を....
「父の墓」より 著者:岡本綺堂
ねてこれを見て我はそも何とかいわん、胸|先ず塞がりて墓標の前に跼まれば、父が世に
在りし頃親しく往来せし二、三の人、きょうも我より先に詣で来りて、山吹の黄なる一枝....