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圭角
「圭角〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
圭角の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
だった。そして、顴骨から下が断崖状をなしている所を見ると、その部分の表出が険しい
圭角的なもののように思われ、また真直に垂下した鼻梁にも、それが鼻翼よりも長く垂れ....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
つねに人に浴びせかけた。まだ三十四五であったが、世の中の辛酸をなめつくして、その
圭角がなくなって、心持ちは四十近い人のようであった。養子としての淋しい心の煩悶を....
「縮図」より 著者:徳田秋声
がわかって来たし、人間の社会的に生きて行くべき方法も頷けるような気がして、持前の
圭角が除れ、にわかに足元に気を配るようになり、養子という条件で三村の令嬢と結婚も....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
でが、真赤にメラメラと燃えている、この窪地一帯に散乱する岩石の切れ屑は、柔らかく
圭角を円められて、赤い天鵝絨色が潮しはじめた。 今まで見たこともない、荘厳をき....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
この点に変りはないのであって、文章にしても枯れた骨のあるものだが、必要な爪牙や、
圭角のある面圧を欠いている。或る人は多分この点を捉えようとしながら、谷川徹三には....
「話の屑籠」より 著者:豊島与志雄
うとする者はないが、少しく注意してみると、案外、心理の機敏を穿ったものや、性格の
圭角を現わしたものが、いくらもある。 昔、フローベルは、新年の挨拶から、祝儀不....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
かった。意地悪でないというのは一つの相対的な善良さである。それからまた、年ごとに
圭角《けいかく》がとれてきて、時とともに穏和になってきた。彼女のうちには言い知れ....
「旅だち」より 著者:豊島与志雄
れて、二年間ばかり陸軍の経理部の仕事をしたことがありました。性質は温厚で、何等の
圭角もなく、同僚と諍いをしたことなどはないそうでした。まだ特別な才能は示さないが....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
った。先生たちはしかし純な、素直な私の方を愛していてくれたように思う。石畑君には
圭角が子供ながらもう芽ばえていた。 新任の校長がやはり同級の或る可愛らしい、才....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
なかった。鋭く稜形に切りそがれた顴骨、鼠色の顎鬚――と数えてみても、一つは性格の
圭角そのもののようでもあり、またもう一つからは、浅薄な異教味や、喝するような威々....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
持のものではない。 戦争中にくらべると、警察というものの持っている感じも、随分
圭角がとれて来たし、まして、大阪の警察は例えば闇市場の取締り方一つくらべてみても....
「良寛様の書」より 著者:北大路魯山人
ある。名手の外皮に童技童心を包蔵していることは明瞭である。 元来、良寛様は相当
圭角のある人であるようである。とても聞かん気に充ちた人であるかと思われる筋の見え....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
二番目の突起にさし掛ったのだ。透間もなく密生した石楠を手掛り足掛りとして、表面は
圭角の鋭いぼろぼろの岩屑と変っている岩の間を匐い上り、長いが狭い頂上の突端に立っ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
な岩の梯子を二十間許り登ると、渓が左右に分れて、片麻岩の大塊が鋸の歯のような鋭い
圭角をいら立たせて押重っている下に、小砂利を敷き詰めた平があって、泡の浮いた薄汚....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
谷に下ると、うまく瀑の上に出られた。 狭い谷は全く滝と奔湍との連続で、河床には
圭角の鋭い岩が乱れ立ち、水は其間を狂奔している。河の中に淵が続いて通れなくなると....