地べた[語句情報] »
地べた
「地べた〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
地べたの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
深い嫉妬《しっと》が頭を襲って来た。彼れはかっと喉《のど》をからして痰《たん》を
地べたにいやというほどはきつけた。
夫婦きりになると二人はまた別々になってせっ....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
ろうか。もう私も生きて居たくない……吾知らず声を出して僕は両|膝《ひざ》と両手を
地べたへ突いてしまった。 僕の様子を見て、後に居た人がどんなに泣いたか。僕も吾....
「奴隷根性論」より 著者:大杉栄
、四這いになって、体や手足に土をぬりつける。キアマ族もまた貴族の前に出ると、急に
地べたに横になる。 ダホメーの酋長の家では、臣下は玉座の二十歩以内に近よること....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
瓜の皮を捨てに行くと、木戸の内側の砂利道に、無帽の麻川氏がうずくまり、向うむきで
地べたをじっと見つめて居る。「何してらっしゃるのですか。」と足音をひそめて私が近....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
りながら、ひょいと見ると、猫真似の闇右衛門という子分が、おかしさにたまりかねて、
地べたに顔を伏せながら、くっくっ笑っているのだ。 「やい、猫真似! 何をしている....
「怪塔王」より 著者:海野十三
。 「おじさん、これはなんの音だろうね」 「さあ、よくわからないけれど、なんだか
地べたの中で、さかんに爆発しているようだね」 「地震じゃないかしら」 「うん、地....
「空襲下の日本」より 著者:海野十三
慌てて逃げても駄目だから、この駅の地下室へ入っていなさい。今に毒瓦斯でも来ると、
地べたで死なねばなりませんからネ」 「毒瓦斯? ほんとうにあの毒瓦斯というのが来....
「死者の書」より 著者:折口信夫
が悪かったと言うのなら、あやまります。著物を下さい。著物を――。おれのからだは、
地べたに凍りついてしまいます。 彼の人には、声であった。だが、声でないものとして....
「新時代女性問答」より 著者:岡本かの子
いう様に昔の女性は何となく一つの新しいということの憧憬があった。その憧憬が此頃は
地べたに踵をつけて来た。 かの子 それは時代が非常に便利になったから何となく新し....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
阿Qはこりゃあきっとお歴々に違いないと思ったから、膝の関節が自然と弛んでべたりと
地べたに膝をついた。 「立って物を言え、膝を突くな」と長い著物の人は一斉に怒鳴っ....
「薬」より 著者:井上紅梅
つの皿盛と一碗の飯を並べ、しばらくそこに泣いていたが、やがて銀紙を焚いてしまうと
地べたに坐り込み、何か待つような様子で、待つと言っても自分が説明が出来ないのでぼ....
「どろぼう猫」より 著者:海若藍平
けました。 「ブチ子さん今日は」 猫はふり返って、 「オヤ赤太郎さん。だんだん
地べたがつめたくなりましたね」 とあいさつをしました。 「ブチ子さんは何をして....
「虻のおれい」より 著者:香倶土三鳥
すと、水と一諸に虻も流れ出て、ビショビショに濡れた羽根を引きずりながら苦しそうに
地べたの上をはい出しましたが、やがて水のないところへ来て羽根をブルブルとふるわし....
「梅のにおい」より 著者:香倶土三鳥
うちに鶯はパッと飛げ出しました。 「しまった」 と斑が飛びつきますと、ドタリと
地べたへ落ちてしまいました。 「ホーホケキョ、ホーホケキョ」 と鶯は隣のうちの梅の木で鳴いていました。....
「父の出郷」より 著者:葛西善蔵
く餓えた野狐の声のような気がされてきて、私はひどく悲しくなってきて、私はそのまま
地べたに身体を投げだして声の限り泣きたいと思った。雨戸を蹶飛ばして老師の前に躍り....