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「地下足袋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

地下足袋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
出しに出かけるが、その内情を聞けば、預金はもう底が見え、交換物資の衣料、ゴム靴、地下足袋等ももうなくなろうとし、いよいよ行詰まりの一歩手前の観ある。やがては買出....
単独行」より 著者:加藤文太郎
っともだ。この寒い冬の最中に上着も無く、カッター・シャツを着ただけであり、足には地下足袋を履いている僕を見ては誰だってそう思うだろう。それにこの人は汽車へ乗込ん....
浮動する地価」より 著者:黒島伝治
来て、走り去った。雨が降っても、風が吹いても、休み日でも。 藁草履を不用にする地下足袋や、流行のパラソルや、大正琴や、水あげポンプを町から積んで。そして村から....
斜陽」より 著者:太宰治
ない。私は戦争の時に徴用されて、ヨイトマケまでさせられた。いま畑にはいて出ている地下足袋も、その時、軍のほうから配給になったものである。地下足袋というものを、そ....
たずねびと」より 著者:太宰治
は、汚いシャツに色のさめた紺の木綿のズボン、それにゲエトルをだらしなく巻きつけ、地下足袋、蓬髪無帽という姿の父親と、それから、髪は乱れて顔のあちこちに煤がついて....
尹主事」より 著者:金史良
いる。汗をはたはた流しながら棒切れで境線を引き廻る。 そこで一先ず小屋に歸り、地下足袋をはきよれよれのゲートルを卷き付ける。擔具《チゲ》を背負うと、再び出て來....
霧の中」より 著者:豊島与志雄
並んだ。正夫もその中にはいった。そこに落し忘れられてるのは、襯衣の上に腹掛をし、地下足袋をはいた男で、仰向けに、手足を伸し、眼をとじ、口をあけて、眠ってるようだ....
鳶と柿と鶏」より 著者:豊島与志雄
と肩をくっつけるようにして歩いて来た。双方から次第に近づいて、男は黒のジャケツに地下足袋で、どうやら半島人らしいと見分けられた。二人の姿は七八木の杉の木立に隠れ....
沼のほとり」より 著者:豊島与志雄
。うとうと居眠ってる者もありました。ただ眼を宙に見開いてるだけの者もありました。地下足袋の男が、ちょっと駅にはいって来て、すぐに出て行きました。そのあと一層ひっ....
水甕」より 著者:豊島与志雄
でもはいていそうで、近辺の地廻りの者らしく、こちらは、着くずれた国民服で、恐らく地下足袋でもはいていそうで、けちな闇ブローカーらしく見えました。 「しみったれた....
早春」より 著者:豊島与志雄
ない。なんども呼んでいると、庭の方から北川さんがやって来た。作業服みたいな姿で、地下足袋をはいている。 「ああ、君か。よく来たね。」 おかしな挨拶だが、その訳....
山の雪」より 著者:高村光太郎
しろへけってない。イタチのも二列。 おもしろいのは人間の足あとで、ゴム靴でも、地下足袋でも、わらぐつでも、あるき方がひとりひとりちがうので、足あとをみると誰が....
四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
の、とほざかる山の雑木紅葉の 落葉吹きまくる風のよろよろあるく 秋の山山ひきずる地下足袋のやぶれ お山のぼりくだり何かおとしたやうな 十一月二日 快晴、行程八....
泡盛物語」より 著者:佐藤垢石
れた黒い大きな丸い刷毛や、溝掃除に使う鍬、鶴嘴、長い竹箆などが散乱していた。 「地下足袋も、絆纏も、股引も持ってます。こんな細い腕でも、ついこのごろまで力仕事を....
錦紗」より 著者:犬田卯
さもさ麦さく切るばかはねえわよ。」 お通は縁側に腰をもたせかけ、畑の土のついた地下足袋をぱたぱたと叩き合せて、 「そうよ、世界にたった一人しか、なア。」 「誰....