地紋[語句情報] »
地紋
「地紋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
地紋の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
翁かと思われるほどの人がその画像の中にいた。翁は自意匠よりなる服を造り、紗綾形の
地紋のある黒縮緬でそれを製し、鈴屋衣ととなえて歌会あるいは講書の席上などの式服に....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
ところで、それもいつか遠ざけてしまった。 ある小雨のふる日、葉子は顔を作って、
地紋の黒い錦紗の紋附などを着て珍らしく一人で外出した。 「私写真|撮りに行っても....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
は、さっとお夜着をはねのけて、起きあがった。白倫子《しろりんず》に葵《あおい》の
地紋を散らしたお寝間着の襟を、かきあわせながら、 「苦しゅうない。両人ともこれへ....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
その上に、沈んだ藤色のお米の羽織が袖をすんなりと墓のなりにかかった、が、織だか、
地紋だか、影絵のように細い柳の葉に、菊らしいのを薄色に染出したのが、白い山土に敷....
「源氏物語」より 著者:紫式部
、二人の美貌には異なった特色があった。源氏は薄色の直衣の下に、白い支那風に見える
地紋のつやつやと出た小袖を着ていて、今も以前に変わらず艶に美しい。宰相中将は少し....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
光に眼をほそめて、あーアッ、と大きな欠伸《あくび》とともに、白地に葵《あおい》の
地紋のある綸子《りんず》の寝巻の袖を、二の腕までまくって、ポリポリ掻いた。
現....
「回想録」より 著者:高村光太郎
り込んで、父が弟子に教えているのを聞いた。 小刀がどうやら研げるようになると、
地紋の稽古をやらされた。
地紋は仏師の方の伝統で仏師屋では実際にそれが必要なのだ。....
「美術学校時代」より 著者:高村光太郎
では親父と石川先生などが相談して、やはり昔からの木彫の順序立ったやり方を教える。
地紋、肉合い、浮彫、丸彫等と二年間くらいはそれを教えられる。小刀の使い方なども覚....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
が二着並んでいたが、そのうち模様のいい方を一着もとめた。帯にでもするのだろうか、
地紋様の美しい布を買っている日本人もあった。私は沢山必要でないが、とてもいい紋様....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
、懐しさぶりを露骨に、火鉢を押して乗出した膝が、襞※捩れの黒袴。紬だか、何だか、
地紋のある焦茶の被布を着て、その胡麻塩です。眉毛のもじゃもじゃも是非に及ばぬとし....