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地肌
「地肌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
地肌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
《ままはは》との争いから、荒《すさ》むままに任せた野性だった。白粉《おしろい》が
地肌《じはだ》を隠したように、この数年間の生活が押し隠していた野性だった。………....
「季節の植物帳」より 著者:佐左木俊郎
の陽光《ひかり》を待ちわびている孤独な人達が、そろそろ雪が消えて、斑《まば》らに
地肌《ぢはだ》が見えかけて来た時、雪間《ゆきま》がくれに福寿草の咲いているのを見....
「熊の出る開墾地」より 著者:佐左木俊郎
幌の方へ帰って行くのだった。 落葉松林が尽きると、路はもはや落ち葉に埋められて
地肌を見せなかった。両側には山毛欅《やまぶな》、いたやかえで、斎※樹《ちさのき》....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
て、原生林帯の中へ入っていった。道はそこで一面の落ち葉にうずめられ、もはや一分の
地肌をも見せてはいなかった。落ち葉の海! 火の海! 一面の落ち葉は陽に映えて火の....
「錯覚の拷問室」より 著者:佐左木俊郎
導はそう言いながら、落ち葉を蹴《け》って歩いた。生徒たちは、わっ! といっせいに
地肌を覆い隠している落ち葉を掻き集めにかかった。 「なるべく埃を立てないようにし....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
どではないが、円らな瞳と青磁に透いて見える眼隈と、それから張ち切れそうな小麦色の
地肌とが、素晴らしく魅力的だった。葡萄色のアフタヌーンを着て、自分の方から故算哲....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
ところへは及ばないようである。そして積雪量の少ないところは底雪崩となりやすいから
地肌にも影響される。 降雨直後の晴天の日は、冬から急に春に変ったと思われるほど....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
うだ。毒卯木の花が生白く咲き山葡萄の蔓が縦横に延び、雪崩の跡が断層を作し赤茶けた
地肌を現わしているのが、荒涼たる光景を二倍にする。 老人は側で顫えていた。そう....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
縁の硝子戸が一枚開いていた。その傍に駆け寄って見ると、下はふか/\した軟かそうな
地肌だった。その
地肌の上に歴々と大きな足袋裸足の跡と思われる型が、石子刑事を嘲け....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
、田鍋《たなべ》捜査課長の机があった。課長と相対しているのは、長髪のてっぺんから
地肌《じはだ》がすこし覗いている中年の長身の紳士だった。無髭無髯《むしむぜん》の....
「都会地図の膨脹」より 著者:佐左木俊郎
。碁盤目の中には、十字に椹の籬が組まれた。雑草は雨毎に蔓延って行った。荒地野菊が
地肌を掩い、姫昔蓬が麻畠のように暗い林になって立った。蓼は細いちょろちょろの路を....
「水垢を凝視す」より 著者:佐藤垢石
のを見ることさえある。 居付鮎は、実に丁寧に石をなめるものである。底石が、黒く
地肌を出す程なめ尽す。なめ尽すと、居場所を替えるから、石が真っ黒に変っているとこ....
「淡紫裳」より 著者:佐藤垢石
、京城から平壤へ、京城から外金剛の駅まで汽車の窓から見る風景は、禿山に近い赤土の
地肌に、ちょろちょろと若い松が生えた甚だ痩せた感じの趣ばかりであったが、ここは赤....
「瀞」より 著者:佐藤垢石
う。岬の突端を彩る深緑の樹林は、山稜を伝って次第に高く行くにつれ、果ては黒く山の
地肌を染めて、最後には峰の雲に溶け込んでいる。遠い山腹に、金色に輝く一点がある。....
「水と骨」より 著者:佐藤垢石
でいっているのである。 谷が深ければ、渓を掩う樹木は密生する。樹木が多ければ、
地肌に当たる陽の力は自然に弱くなって雪は夏遅くまで残っている。それが因となり果と....