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地膚
「地膚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
地膚の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
さして、まぶしいほどにも澄み渡ったその朱いろの中から、喜七いのち、という五文字が
地膚そのままにくっきりと白く浮きあがっているのです。 「なかなか珍しい彫りでござ....
「親子」より 著者:有島武郎
ていた。斑ら生えのしたかたくなな雑草の見える場所を除いては、紫色に黒ずんで一面に
地膚をさらけていた。そして一か所、作物の殻を焼く煙が重く立ち昇り、ここかしこには....
「読書法」より 著者:戸坂潤
る人は、作家一般の内で珍しいと思う。氏の合理的精神とでもいうものが、或いは文壇の
地膚に合わぬかも知れない。だが夫は広い世間からすれば何等の問題でもないことだ。 ....
「黒い地帯」より 著者:佐左木俊郎
もの、烏と同じごって、幾ら洗ったって、白くなんかなんねえのだ。松代さんのように、
地膚が白くて、洗って白くなんのなら、朝晩欠かさず洗ってやんのだげっとも。」 「知....
「魔都」より 著者:久生十蘭
栗がすんだばかりのところで、大きな穴の四周には大地の断面が寒そうな地層図を描いて
地膚を露き出している。見ると内幸町側の断面に、そこだけ大きなカンヴァスが懸けられ....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
うはずはない。 では蓬とは何んだ。蓬とはアガサ科のハハキギ(ホウキギ)すなわち
地膚《ジフ》のような植物で、必ずしも単に一種とのみに限られたものではなく、そして....
「「可愛い女 犬を連れた奥さん 他一編」あとがき」より 著者:神西清
ていることも、恐らくは否定しがたい事実で、心ゆくまで地味で落ちついたこれら作品の
地膚の上には、彼の世界観のおのずからなる推移が、一種いい解きがたいなつかしいニュ....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
かり、鳥居も、玉垣も、社殿も……牛島神社の影もかたちもが存しなかった。――乾いた
地膚の、空坊主に、さむ/″\とたゞひろがっているばかりだった…… 「何てこッた。....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
大桜草、白山小桜、深山毛莨、大葉の黄菫などが、空疎ではあるが思ったより水気のある
地膚の所どころを美しく飾っている。筧の水をうけ入れた桶の中には、見事な山桜の枝が....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
半道程の上流に温泉があるのだという。 又山の裾を登り始める。木は生えているが、
地膚は堅い岩の壁が、表面は苔に被われて水気付いているから能く滑る。九時五分尾根の....