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地色
「地色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
地色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
て以来、十年、彼は恒雪線《スノウ・ライン》とたたかっている。雪焼けはとうに、もう
地色になっていて、彼は自他ともゆるす世界的|氷河研究家《グレーシャリスト》だ。
....
「鮨」より 著者:岡本かの子
鮨に子供は慣らされて行った。 ざくろの花のような色の赤貝の身だの、二本の銀色の
地色に竪縞のあるさよりだのに、子供は馴染むようになった。子供はそれから、だんだん....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
のようだった。 鑑定事項 一、大正六年押第二八八号十五の布地の地質並に
地色。 帯に用いられたる布片ありや否や。 帯とせば該布片により見たる帯としての幅....
「恋愛曲線」より 著者:小酒井不木
、厳粛な感じを与えるものだ。切出された心臓は立派な一個の生物だ。薔薇のような紅い
地色に黄の小菊の花弁を散らしたような肉体を持つ魔性の生物は、渚に泳ぎ寄る水母のよ....
「映画雑感(Ⅳ)」より 著者:寺田寅彦
演のこの映画は、はじめからおしまいまで、この主役者の濃厚な個性でおおい尽くされた
地色の上に適当な色合いを見計らった脇役の模様を置いた壁掛けのようなものである。も....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
である。温室花に相違ない。床には絨緞が敷かれてある。やはり昆虫の模様があり、その
地色は薄緑である。 それは黒檀に相違あるまい、しなやかに作られた卓子《テーブル....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
2 一着の、長い中国服だ! 中から出てきたものは、裾も手も長い、まっ黒な
地色の中国服であった。そのほかになにもない。 「中国服か、やっぱり……」 彼は....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
い紙かあるいは藍、あるいは鼠色の紙をガラスと同じ大きさに切って当てます、その紙の
地色によって、絵の調子を、強めたり弱めたりする事が出来ます。 色紙を当てると、....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
って、黒い紙か或は藍、或は鼠色の紙をガラスと同じ大きさに切って当てます。その紙の
地色によって、絵の調子を、強めたり弱めたりする事が出来ます。 色紙を当てると、....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
たのだ。波止場のお客さんと言えば、いでたちも君、大概きまってよう。何世紀か前には
地色の青だった、油で黒い火夫の仕事着に、靴は勿論片ちんばでなければならない。それ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
それは優さしい、美事な牡馬でございました。背材はそう高くはございませぬが、総体の
地色は白で、それに所々に黒の斑点の混った美しい毛並は今更自慢するではございませぬ....
「桂馬の幻想」より 著者:坂口安吾
ですよ」 「アヽ、色が大そう黒いな。畑の匂いだって? とんでもない。色の黒いのは
地色だよ。あの出戻りは野良へでたことなんてありやしない。ヨメ入り先から逃げだした....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
てみてその頃は四十前後であったろうかと思われるが、白粉をつけていたのか、それとも
地色が白かったのか、とにかく私の目には白い顔が映った。漱石氏のところで午飯の御馳....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
が、実は昨今だから、……へい?」と顔の筋を動かして、眉をしかめ、目を※ると、この
地色の無い若い者は、思わず手に持った箱を、ばったり下に置く。 「ええ、もし、」 ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
、得意の鼻をいや高くして長い脛を飛ばす。後から見ていると青草を干したような洋服の
地色が妙に霧に溶け合って、黒い脚袢が二本、雪の上をすうすうと歩いているようで、何....