地蔵眉[語句情報] » 地蔵眉

「地蔵眉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

地蔵眉の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
に肥ってやや括《くく》れ頤《あご》になっている若いお里の丸顔がありありと映った。地蔵眉の下に鈴のような眼をかがやかしている人形のような顔――それがお絹には堪まら....
うつり香」より 著者:近松秋江
ぐお宮のところに行こう」私は口の中で独語をいった。 色の白い、濃いけれど柔かい地蔵眉のお宮をば大事な秘密の楽しみにして思っていたものを、根性の悪い柳沢の嫉妬心....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
綿入羽織を着て、次郎さんは寝入った様に死んで居る。額を撫でると氷の様に冷たいが、地蔵眉の顔は如何にも柔和で清く、心の美しさも偲ばれる。次郎さんをはじめ此家の子女....
旅愁」より 著者:横光利一
は、槙三、由吉、佐佐の三人に混ったテーブルの白布の上から、塩野の明るく伸び開いた地蔵眉が快活に、矢代に向って手を上げた。誰もみな疲労の色が顔に出ていたが、彼の留....
農村」より 著者:宮本百合子
のであった。 いかにも貧乏しそうな、不活溌な、生気のない、青黒い顔をして居て、地蔵眉の下にトロンとした細い眼は性質の愚鈍なのをよく表わして居る。 こんな農民....
挿頭花」より 著者:津村信夫
然、萩盗人の少女は、私の方に向き直つた。折からの一際冴えた月の明りに、少女は一寸地蔵眉をよせると、萩の小枝を二本、頭の上に翳して、「萩の花はおきらひ?」と尋ねか....
剣侠」より 著者:国枝史郎
眼をとじた。 人形ではなく生ける人間で、しかもそれは澄江であった。 富士額、地蔵眉、墨を塗ったのではあるまいかと、疑われるほどに濃い睫毛で、下眼瞼を色づけた....
挿話」より 著者:徳田秋声
なって、しばらくやっていた師匠を止めて、ここの世話をやきに来ているのであったが、地蔵眉毛が以前より目立って頬は殺げたけれど、涼しい目や髪には、お婆さんらしいとこ....
青い紐」より 著者:田中貢太郎
散歩しませんか、すこし遅いことは遅いが」 女は電柱を離れて寄って来た。黒い眼と地蔵眉になった眉がきれいであった。 「あなたは、どちらです、遠いのですか」 「近....