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坂上
「坂上〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
坂上の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
音を忍ばせて、そのあとを尾《つ》けてゆくと、彼は自分の屋敷へは帰らないで、九段の
坂上から旗本屋敷の片側町を南へぬけて、千鳥ヶ淵の淋しい堀端の空地へ出た。見ると、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
く暮れ切った。男は暗い女坂を逃げのぼるので、半七も根《こん》よく追って行ったが、
坂上の手水鉢《ちょうずばち》のあたりで遂にその姿を見失った。 こうと知ったら、....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
くる帝都の空の一角を睨んでいた。 「少尉殿」突然叫んだのは算定器の照準手である飯
坂上等兵だった。 「友軍の機影観測が困難になりましたッ」 「うむ」 高射砲隊長....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
一時十分であったが、玉川線は十時半が終車ゆえ、歩くしかない。焼跡の間の一本道を大
坂上にかかったとき、警戒警報が発令された。あまり灯火を消す風も見えず、憲兵隊の漏....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
一緒に住んだ。 二人とも、学校の方もよく勉強したが、小説もずいぶんよく読んだ。
坂上にちょっとした、貸本屋があった。そこから借りて来るのだが、しばらくの間にその....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ろに背負いながら、とうとう三宅坂下までたどり着いたが、女は河獺にもならなかった。
坂上の道はふた筋に分かれて、隼町の大通りと半蔵門方面とに通じている。今夜の私は、....
「空襲警報」より 著者:海野十三
て、日頃の訓練が物をいって大事に至らずにすんだ。 「……瓦斯だッ、瓦斯、瓦斯!」
坂上から、伝令の少年が自転車に乗って駈けくだってきた。 「ホスゲンだ、ホスゲンだ....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
人通りも何にも無い。地図の上へ鉛筆で楽書したも同然な道である。 そこを――三光
坂上の葭簀張を出た――この老人はうら枯を摘んだ籠をただ一人で手に提げつつ、曠野の....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
帽を被った、若いのが声を掛けた。 「蜻蛉なら、幽霊だって。」 お米は、莞爾して
坂上りに、衣紋のやや乱れた、浅黄を雪に透く胸を、身繕いもせず、そのまま、見返りも....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
、もみじを散して、青空に透通る。鐘は高く竜頭に薄霧を捲いて掛った。 清水から一
坂上り口に、薪、漬もの桶、石臼なんどを投遣りにした物置の破納屋が、炭焼小屋に見え....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
しつつ前後を見た無法ものは、フトその母衣の中に目を注いだ。 これより前、湯屋の
坂上の蒼空から靉靆く菊の影の中、路地へ乗り入れたその車。髷の島田の気高いまで、胸....
「火に追われて」より 著者:岡本綺堂
わたしは早々に引返して、更に町内の酒屋の角に立って見わたすと、番町の火は今や五味
坂上の三井邸のうしろに迫って、怒濤のように暴れ狂う焔のなかに西洋館の高い建物がは....
「御堀端三題」より 著者:岡本綺堂
後ろに脊負いながら、とうとう三宅坂下まで辿り着いたが、女は河獺にもならなかった。
坂上の道は二筋に分れて、隼町の大通りと半蔵門方面とに通じている。今夜の私は、灯の....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
れた。 数年前|物故した細川風谷の親父の統計院幹事の細川広世が死んだ時、九段の
坂上で偶然その葬列に邂逅わした。その頃はマダ合乗俥というものがあったが、沼南は夫....
「四つの都」より 著者:織田作之助
に乗っている者が倒れ、胴の者はその下敷になる。 混乱。 新吉はこの混乱をよそに、
坂上の露地の家々へ、新聞を投げ込みながら、露地を抜けると、通りへ折れて、黄昏の中....