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坂下
「坂下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
坂下の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「運」より 著者:芥川竜之介
を申しませぬ。所を訊かれても、所を申しませぬ。ただ、云う事を聞けと云うばかりで、
坂下の路を北へ北へ、抱きすくめたまま、引きずるようにして、つれて行きます。泣こう....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
電車が、やはり乗降りのない停留場へぱったり止まってしまったのは、その動坂線の団子
坂下《だんござかした》です。しかも車掌がベルの綱へ手をかけながら、半ば往来の方へ....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
の観音の山へ放した時は、煩っていた家内と二人、悄然として、ツィーツィーと梢を低く
坂下りに樹を伝って慕い寄る声を聞いて、ほろりとして、一人は袖を濡らして帰った。が....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
か?」 「菓子折に入れて持って来ました。」 「お前の家はどこにあるのか?」 「平
坂下であります。」 「お前の親は達者でいるか?」 「いえ、家内と二人暮らしであり....
「春昼」より 著者:泉鏡花
天気の可い、のどかな、陽炎がひらひら畔に立つ時分。 親仁殿、鍬をかついで、この
坂下へ遣って来て、自分の借地を、先ずならしかけたのでございます。 とッ様|昼上....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
震災|前には、十六七で、渠は博徒の小僧であった。 ――家、いやその長屋は、妻恋
坂下――明神の崖うらの穴路地で、二階に一室の古屋だったが、物干ばかりが新しく突立....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
の塀の間を、鈍い稲妻形に畝って、狭い四角から坂の上へ、にょい、と皺面を出した……
坂下の下界の住人は驚いたろう。山の爺が雲から覗く。眼界|濶然として目黒に豁け、大....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
遅い。渠等は社の抜裏の、くらがり坂とて、穴のような中を抜けてふとここへ顕れたが、
坂下に大川一つ、橋を向うへ越すと、山を屏風に繞らした、翠帳紅閨の衢がある。おなじ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ことに不気味にして、化猫が、抱かれたい、抱かれたい、と天井裏で鳴くように聞える。
坂下の酒屋の小僧なら、そのまま腰を抜かす処を、学海先生、杖の手に気を入れて、再び....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
「お米の容色がまた評判でございまして、別嬪のお医者、榎の先生と、番町辺、津の守
坂下あたりまでも皆が言囃しましたけれども、一向にかかります病人がございません。 ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
も返らず、ハタと留まって、打傾いた、耳をそのまま言を待つ。 「主、今のことをの、
坂下の姉さまにも知らしてやらしゃれ、さだめし、あの児も拝みたかろ。」 聞きつけ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
す……そのまま地獄の底へ落ちて行くかと、心も消々となりながら、ああ、して見ると、
坂下で手を掉った気高い女性は、我らがための仏であった。―― この難を知って、留....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
わざりき。 誓 月|凍てたり。大路の人の跫音冴えし、それも時過ぎぬ。
坂下に犬の吠ゆるもやみたり。一しきり、一しきり、檐に、棟に、背戸の方に、颯と来て....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
」 「いえ、親類と申しますでもございませんが、ちと懇意に致しますもので、ついこの
坂下まで手前用事で参りましたに就いて、彼家から頼まれまして、先生様の御邸へ伺いま....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
いでッていうもんだから、車夫が慌ててさ。壱岐殿坂だッたかしら、ちっとこっちへ来る
坂下の処で、荷車に一度。ついこの先で牛車に一度、打附りそうにしたの。虫が知らせた....