均衡[語句情報] »
均衡
「均衡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
均衡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:梶井基次郎
までの自分、不意に自分を引摺《ひきず》り込んだ危険、そして今の自分。それはなにか
均衡のとれない不自然な連鎖であった。そんなことは起りはしなかったと否定するものが....
「橡の花」より 著者:梶井基次郎
可愛い困惑です。然し笑い笑いしていた私はへんに笑えなくなって来たのです。笑うべく
均衡されたその情景のなかから、女の児の気持だけがにわかに押し寄せて来たのです。「....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
ば、絶えずそれを捉えようとあがいていたのであるが、そのうちいつとなく、気持の上に
均衡が失われてきて、今では、もう動かしがたい、心理的な病的な性質が具わってしまっ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
かく神が物質を分ちしとき―― そは誰なりしか――これに肢節を作り始めぬ。 これが
均衡を得るためにまず 地を球形(注三)として空中に浮べたりき。 嵐に慄く海の潮を....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
は周囲の調和を決して乱さないように行なわなければならぬ。着物の格好や色彩、身体の
均衡や歩行の様子などすべてが芸術的人格の表現でなければならぬ。これらの事がらは軽....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、かえって創紋の謎を深めた感があったので、その新しい戦慄のために、検事の声は全く
均衡を失っていた。
「万事剖見を待つとしてだ。それにしても、屍光のような超自然現....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
それから先は鉄芯に隔てられて、炎が十分反対側に届かなくなる。それで、蝋の燃焼が不
均衡になって、急角度の傾斜が現われて来るのだ。つまり、一方は芯だけになっても、片....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
は新型十万台廉売の広告をしている。 食後の胃のけだるさがそうさせるのか新吉の不
均衡な感情は無暗に巴里の軽薄を憎み度くなってじれ/\して来た。その時ジャネットが....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
幽明交通に有害か?』 悪霊の跳躍――ダアビイ競馬日の如き場合には、人間の道徳的
均衡が撹乱されているので、われ等として、地上との交通に至難を感ずる。かかる場合に....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
と法悦の外何事も感じなくなってしまった。それが、所謂健否の境界なんだよ――精神の
均衡が危くなって、将に片方の錘が転落しようとする。つまり、厨川君の作った組織が、....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
者がどんなに反対なことを言おうとも――その当時のわたしは全くの健康状態であって、
均衡を失わない理性と絶対に冷静な心とを持っていた。キッティと私とは一緒にハミルト....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
夢を妨げる何ものでもなかったのである。 おそらく、そうでもしなければ、彼の心は
均衡を失って、たちまち狂いの、どん底に叩き込まれたであろうが、そうして一方では、....
「バットクラス」より 著者:岡本かの子
の上機嫌を二十四時間保たしめる。 夫人は後妻だ。彼女が前に経験した初婚の年齢の
均衡の取れた夫婦関係では夫が青臭く匂って張合いが持てなかったが、今の「若く美しき....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
(三たび英京ロンドンに来てその様子を見たが、年をおうごとに貧富の差が大きくなって
均衡を失っている。文明というものが今日は多くのそれにともなう弊害を生み、いたると....
「雨」より 著者:織田作之助
て、それは彼の自尊心とぴたりと寄り添うていて、勿論謙譲からではなかった。自尊心の
均衡によって初めて自分自身を感ずることの出来る彼は、母に似ぬ子であった。母親一人....