坐す[語句情報] » 坐す

「坐す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

坐すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
かな落着きを感ずるよりも、ある強い誘惑を感じた。けれども机に向っておぬいさんと対坐すると、どうしてもいつもの彼の調子が出にくかった。道々彼が思いめぐらしてきたよ....
武蔵野」より 著者:国木田独歩
野や林や永久《とこしえ》の夢に入りたらんごとく。午後犬を伴うて散歩す。林に入り黙坐す。犬眠る。水流林より出でて林に入る、落葉を浮かべて流る。おりおり時雨しめやか....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
るものがあるか、ありとすれば、それは万有を見守る 「彼」であるか、 天の高きに坐す――否恐らく「彼」ですら知らないであろう。 この深きに徹した詩的の記述は本....
近時政論考」より 著者:陸羯南
て自由論派は何故に共和主義または破壊主義と目せられしや。思うにまた世の誤解多きに坐するのみ。この誤解たるや、あるいはその末流の徒、真にいまだ先覚者の説を翫味せず....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
頭分とみえる者は紅い冠をいただき、うす黄色の袍を着て、神坐の前にある案に拠って着坐すると、その従者とおぼしきもの十余人はおのおの武器を執って、階段の下に居列びま....
友人」より 著者:上村松園
れることのない友である。 私は友人に逢いたくなると画室に入って、その人たちと対坐する。 彼女たちは語らない。 私も語らない。 心と心が無言のうちに相通じ....
貞操問答」より 著者:菊池寛
、それに対する挨拶などは一切なかった。 新子も、こんな気持で、夫人とこれ以上対坐することは、堪えられなかったので、 「失礼致しました。」と、せわしなくいって、....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
通り座敷を掃除させて、机の前に端坐し、そして向うを眺めて好い気持になっている。端坐するということは、鶴見にはいつからか癖になっているので、厳格な意味でわざわざそ....
弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
暗く何も見えなかった。 そこで若武士は膝を揃えて坐った。疲労た足を癒すには、端坐するのがよいからであった。 2 こうしてしばらく時が経った。と、その時裏庭の....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
らざるごとくに認め、以て勝氏の行為を弁護したるは、畢竟するに全く事実を知らざるに坐するものなり。 今|当時における外交の事情を述べんとするに当り、先ず小栗上野....
蟹満寺縁起」より 著者:岡本綺堂
。死んだ振して子供を釣ろか。……ああ、面白い、面白い。 (蛙は蓮の葉を地にしきて坐す。柳のかげより大いなる赤き蟹いず。蟹は武装して、鋏のごとき刃をつけたる長刀を....
山吹」より 著者:泉鏡花
ったかも知れません。――さあ、二人でお酌をしてあげておくれ。 夫人、人形使と並び坐す。稚児二人あたかも鬼に役せらるるもののごとく、かわるがわる酌をす。静寂、雲く....
「日本民族」とは何ぞや」より 著者:喜田貞吉
を一にせる一大民族が、数千年来の歴史によって互いに結び付き、相ともに宗家の家長と坐す天皇を、元首と奉戴しているものである。この意味において我ら国民は、ことごとく....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
て称せられて居るようであります。 このチョモ・ラハリはあたかも毘婁遮那の厳かに坐するがごとく曠原の一角に聳え、しかしてこの湖水を擁してずらりと列べる雪峰は天然....
雨の宿」より 著者:岩本素白
を延べてくれた奥の小間の唐紙を締め切り、入り口の方の部屋のまん中に小机を据えて端坐すると、少し強くなった雨の音が、明日の行程の悩みを想わせるよりも、ひどく静かな....