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坐視
「坐視〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
坐視の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
な》めつつあり。もしさらに一二年を放置せば、心身ともに萎靡《いび》し終らんとす。
坐視《ざし》するに忍びざるものあり。幸いにして東京に良家のあるありて、彼女のため....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
ではない、何の手掛りもなくて探偵も高輪田氏も甚く心配して居て、此の方は其の心配を
坐視するに忍びぬから、高輪田に向い「最早尋ねる所がないから念の為堀の底でも探って....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
た。聞くところによると水府は今非常な混乱に陥っている、これは国家危急の秋で武士の
坐視すべきでない、よって今からここを退去する、幸いに見のがしてくれるならあえてか....
「鼻の表現」より 著者:夢野久作
現をふりまわして、数十万の生命を弄び殺した女王の鼻がありました。 戦争の惨禍を
坐視し得ぬ鼻の表現から、世界的の博愛事業を生み出して、今日まで幾千万の人々をして....
「源氏物語」より 著者:紫式部
の人にばかり傾いているのを知っては、親心として宰相中将の他家の息女と結婚するのを
坐視するに忍びなくなった。話が進行してしまって、中務の宮でも結婚の準備ができたあ....
「猿の図」より 著者:三好十郎
。加うるに、アッツ島その他におけるわが神兵の玉砕以来、戦況の日に非なるを、もはや
坐視するにしのびないものがあるのであります。今や既にわれわれは、国民としての最後....
「奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
に向う頼朝は勢い朝敵の地位に立たなければならんのである。頼朝たるもの、あにこれを
坐視することが出来よう。彼はすでに寿永元年四月において、文覚上人を高雄より請して....
「黒田清隆の方針」より 著者:服部之総
《この》際|若《も》し英米両国争端を開くの形勢に至れば、魯国|固《もと》より傍観
坐視するの理なかるべし。現今世界中海軍の勢威を輝かす英米両国互に兵端を開けば、必....
「三国志」より 著者:吉川英治
のほかな奴だ。しかも路傍で――」 「いかほどお怒りをうけましょうとも、天下の為、
坐視はできません」 「
坐視できぬ。さては敵の廻し者か。生かしておいては、後日の害....
「三国志」より 著者:吉川英治
ばみな獄から解かれましょう。兄上の妻子にまでご災難の及んでゆくのを、なんで孔明が
坐視しておりましょう。君へ申しあげて、きっと荊州は呉へ還します」 「おお……そう....
「三国志」より 著者:吉川英治
した。 「朕と関羽とは一体である。いまやその関羽なく、呉は驕り誇っている。なんで
坐視するに忍ぼうや、汝らこれ以上、朕を阻むにおいては獄へ投じ、首を斬らん」 頑....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
天皇は天皇の御座からも追われるというような超権力の存在を、みかどとして、どうして
坐視していられようか。――とりわけ、近世の歴代中でも、比類なき英邁な質をもってお....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
を退くまい。さて、どうしたものか」 「いやいや、石川の父の太夫も、この御難儀を、
坐視しているはずはありませぬ」 「月の空から、石が降る世の中だ。なかなか人の心も....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
つ、明日への理想などである。 ゆらい、わが叡山は、王城|鎮護の寺、宮廷の厄は、
坐視できない。 幕府の暴逆は、いまに限らないが、いまはその魔刃を、宮の首に加え....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
いるものが多い。それを全然男たちに任せ、ないしは彼らの迷いまた誤まるのを、じっと
坐視するだけが女の役かどうか。或る問題は職務に疲れきっている人々の手から引取り、....