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坩
「坩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
坩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
た。彼の心はその瞬間、嫉妬と憤怒《ふんぬ》と屈辱《くつじょく》との煮え返っている
坩堝《るつぼ》であった。彼は眼前に犬と戯《たわむ》れている、十六人の女たちを見る....
「壊れたバリコン」より 著者:海野十三
めき出して来ました。電話のベルが廊下のあなたに三度四度と鳴らされて行きました。「
坩堝に滾りだした」不図こんな言葉が何とはなしに脳裡に浮びました。 室の外の長廊....
「食魔」より 著者:岡本かの子
切りにした牛骨の載れる皿を銀盤で捧げて立っている。老人は客が食指を動し来る呼吸に
坩を合せ、ちょっと目礼して匙で骨の中から髄を掬い上げた。汁の真中へ大切に滑り浮す....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ースト・サイドへ出掛けていった。 そこは、二十七か国語が話されるという、人種の
坩堝。極貧、小犯罪、失業者の巣。いかに、救世軍声を嗄らせどイースト・リヴァの澄ま....
「科学と文学」より 著者:寺田寅彦
うことは、この場合においては作者自身が被試験物質ないしは動物となって、試験管なり
坩堝なり檻なりの中に飛び込んで焼かれいじめられてその経験を歌い叫び記録するのであ....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
に、一般に流通していなかったのである。 (11) 鉱物を溶解するときに炉床または
坩堝《るつぼ》の底に沈澱《ちんでん》するもの。 (12) William Kid....
「もくねじ」より 著者:海野十三
だからもう一度生れ変ってくることだね。真鍮の屑金として、もう一度|製錬所へ帰って
坩堝の中でお仲間と一緒に身体を熔かすのだよ。そしてこの次は、りっぱなもくねじにな....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
しに砲弾と爆弾とが降って来た。身を避けるものは何もない。彼は灼鉄炎々と立ちのぼる
坩堝の中に身を投じたように感じた――が、そのあとは、意識を失ってしまった。 不....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
えている。速記術というものが次第に行なわれるようになって、三遊亭円朝口演、若林|
坩蔵速記の「怪談牡丹燈籠」が発行された。後には種々の製本が出来たが、最初に現われ....
「科学が臍を曲げた話」より 著者:海野十三
最大のダイヤモンドを所有したいという欲望を持って、持っているだけのダイヤを全部|
坩堝に入れて融合させようと思ったところが、もともと炭素のかたまりであるダイヤは、....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
を知っています。しかし、手は泥をこねるためにだけ作られたように見え、眼は顕微鏡か
坩堝をのぞくために作られたように見えるこの哲学者たちが、それこそ奇蹟を完成したの....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
ではなかったか。犯人は云うまでもなく同一人であり、しかも坑殺された峯吉の燃え沸る
坩堝のような怨みを継いだ冷酷無比の復讐者だ。 しかし、ここで係長は、鉄扉のよう....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
鰯、鯖、鰺などの幾千ともなく水底を網に飜るありさま、夕陽に紫の波を飜して、銀の大
坩炉に溶くるに異ならず。)――人気がよくて魚も沢山だったんでしょう。磯端で、日く....
「「黒死館殺人事件」序」より 著者:甲賀三郎
燭をつけて小説を書くという噂が立ったが、この筆法で行けば、小栗虫太郎はレトルトや
坩堝の並んでいる机の上で、鵞ペンを持って、羊皮紙の上に小説を書いているに違いない....
「ハイカラ考」より 著者:木村荘八
今から概括して「イキ」と名づけるのが便宜の美感の方法があって、男女共にこのイキの
坩堝の中から、「美人」が生れ、或いは「美男」のでき上ったことがあった。又ひところ....