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垂
「垂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
垂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
6
綱を上ったり下りたりしている猿。猿は燕尾服《えんびふく》の尾を
垂れた上、シルク・ハットを仰向《あおむ》けにかぶっている。この綱や猿の後ろは深い....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
ながら、声のない一座を見まわした。が、藤井はいつのまにか、円卓《テエブル》に首を
垂らしたなり、気楽そうにぐっすり眠《ね》こんでいた。
(大正十一年六月)....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
こう云いながら、また眼を向う河岸《がし》の空へ送りました。が、空はまるで黒幕でも
垂らしたように、椎《しい》の樹《き》松浦《まつうら》の屋敷の上へ陰々と蔽いかかっ....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
そうに呟《つぶや》いたまま、蘭袋に礼を云うつもりか、床の上へ乱れた頭《かしら》を
垂れた。そうしてついに空しくなった。……
寛文《かんぶん》十年|陰暦《いんれき....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
、大きい三日月《みかづき》を仰ぎながら、しばしば熱心に祈祷を凝《こ》らした。この
垂れ髪の童女の祈祷は、こう云う簡単なものなのである。
「憐みのおん母、おん身にお....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
――」
「じゃ一番さきに寝るかな。」
慎太郎はまた弟のE・C・Cに火をつけた。
垂死《すいし》の母を見て来た癖に、もう内心ははしゃいでいる彼自身の軽薄を憎みなが....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
う薄暗い堂内に紅毛人《こうもうじん》の神父《しんぷ》が一人、祈祷《きとう》の頭を
垂《た》れている。年は四十五六であろう。額の狭《せま》い、顴骨《かんこつ》の突き....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
複製などもかかっている。ピアノも黒い胴を光らせている。鉢植えの椰子《やし》も葉を
垂らしている。――と云うと多少気が利《き》いていますが、家賃は案外安いのですよ。....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
のを感じた。
「何か御用でございますか?」
男は何とも返事をせずに髪の長い頭を
垂れている。常子はその姿を透《す》かして見ながら、もう一度恐る恐る繰り返した。
....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
海辺《うみべ》に多い弘法麦《こうぼうむぎ》だけは疎《まば》らに砂の上に穂《ほ》を
垂れていた。その穂は僕等の来た時にはまだすっかり出揃《でそろ》わなかった。出てい....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
するとそこに洋食屋が一軒、片側《かたかわ》を照らした月明りに白い暖簾《のれん》を
垂らしていた。この店の噂は保吉さえも何度か聞かされた事があった。「はいろうか?」....
「初雪」より 著者:秋田滋
を読むのを止めてしまった。そして、手紙を持っている右の手は、静かに静かに膝の上へ
垂れて行った。一方、彼女はその左の手を、胸をひき裂くかと思われる、頑強な咳を鎮め....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
は物覚えよく、一を聞て二三は知るほどなりしゆえ、伯父はなお身を入れてこの子こそ穂
垂という家の苗字を世に知らせ、またその生国としてこの地の名をも挙るものなれとて、....
「寡婦」より 著者:秋田滋
射手たちはこのひッきりなしに襲ってくる水攻めに絶えず身をかがめ、犬も悲しげに尾を
垂れて、肋骨のうえに毛をぺッたりくッつけていた。身体にぴッたり合った年わかい女の....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
秋の宝を見わたした。どこを見ても林檎があふれるほどだった。木の枝も折れるばかりに
垂れさがっているかと思うと、集められて籠や樽に入れられ市場へ送りだすようになって....