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「垂々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

垂々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
戦くのがまだ留まねば、腕を組違えにしっかと両の肩を抱いた、腋の下から脈を打って、垂々と冷い汗。 さてもその夜は暑かりしや、夢の恐怖に悶えしや、紅裏の絹の掻巻、....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
すなあ。」 「そうさ、生は東だが、身上は北山さね。」と言う時、徳利の底を振って、垂々と猪口へしたむ。 「で、お前様、湊屋へ泊んなさろうと言うのかな。」 それだ....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
錠を下した時に、うっかり挟んだものと思われる。が、それを心着いた時は――と云って垂々と額に流るる汗を拭って――ただ一瞬間に千万無量、万劫の煩悩を起した。いかに思....
婦系図」より 著者:泉鏡花
して薬瓶を取ると、伸過ぎた身の発奮みに、蹌踉けて、片膝を支いたなり、口を開けて、垂々と濺ぐと――水薬の色が光って、守宮の頭を擡げて睨むがごとき目をかけて、滴るや....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
倒して慌てるほど、身体のおしに重みがかかる、とその度に、ぐ、ぐ、と泣いて、口から垂々と血を吐くのが、咽喉に懸り、胸を染め、乳の下を颯と流れて、仁右衛門の蹠に生暖....
黒百合」より 著者:泉鏡花
つ花片の中から、すっくと顕れた一個の美少年があった。捲り手の肱を曲げて手首から、垂々と血が流れる拳を握って、眦の切上った鋭い目にはッたと敵を睨んだが、打仰ぐ空次....
高野聖」より 著者:泉鏡花
って指の尖《さき》へ吸ついてぶらりと下った、その放れた指の尖から真赤な美しい血が垂々《たらたら》と出たから、吃驚《びっくり》して目の下へ指をつけてじっと見ると、....
春昼」より 著者:泉鏡花
させぬが、夢中で取られまいと振動かす、小児は手を出す、飛車を遁げる。 よだれを垂々と垂らしながら、占た! とばかり、やにわに対手の玉将を引掴むと、大きな口をへ....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
と俊吉の瞶る目に、胸を開くと、手巾を当てた。見ると、顔の色が真蒼になるとともに、垂々と血に染まるのが、溢れて、わななく指を洩れる。 俊吉は突伏した。 血はま....
南地心中」より 著者:泉鏡花
れるのを、もじもじと見ていたろうじゃないか。」 「煙管で、へい?……」 「ああ、垂々と血が出た。それをどうにもし得ないんだ。じゃ、天王寺の境内で、猿曳を拾上げた....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
は。」 と笑いながら。 既にして、朱鷺色の布一重である。 私も脱いだ。汗は垂々と落ちた。が、憚りながら褌は白い。一輪の桔梗の紫の影に映えて、女はうるおえる....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
峠の雪路のように、天井裏まで見上げさせる。 小松原はまた肩のあたりに、冷い汗を垂々と流したが、大分夜も更けた様子で、冷々と、声もない、音もせぬ風が、そよりと来....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
の香しさがコンガリと鼻を突いて、袋を持った手がガチガチと震う。近飢えに、冷い汗が垂々と身うちに流れる堪え難さ。 その時分の物価で、……忘れもしない七銭が煎餅の....
星女郎」より 著者:泉鏡花
る。これとても、蚊や蜉蝣を吸うような事ではござらん、式のごとき大物をせしめるで、垂々と汗を流す。濡色が蒼黄色に夕日に光る。 怪しさも、凄さもこれほどなら朝茶の....
薬草取」より 著者:泉鏡花
に付け、今も、気弱り、神疲れて、ここに深山に塵一つ、心に懸らぬ折ながら、なおかつ垂々と背に汗。 糸のような一条路、背後へ声を運ぶのに、力を要した所為もあり、薬....