垂れ下る[語句情報] » 垂れ下る

「垂れ下る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

垂れ下るの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白蛇の死」より 著者:海野十三
て来た。そして揺りあげる度にしどけなく裾が乱れて、お由好みの緋縮緬がだらりと地へ垂れ下る。その度に彼等は立止って、そのむっちりと張切った白い太股のあたりを掻き合....
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
いの外、上品な、そして柔和な三十過ぎの青年紳士に見えた。しきりに、漆黒の髪が額に垂れ下るのを、細い手でかき上げるのが、なんとはなしに美しかった。私が夢から醒めき....
千鳥」より 著者:鈴木三重吉
枕をするのは何のことか解らない。藁でたばねた髪の解れは、かき上げてもすぐまた顔に垂れ下る。 座敷へ上っても、誰も出てくるものがないから勢がない。廊下へ出て、の....
旅愁」より 著者:横光利一
わあわあ騒ぎ立って来るに随って、咲き連っている造花の桜の枝枝にテープが滝のように垂れ下る。 船客たちは今宵が最後の船だと思うばかりではない。地中海へ這入ってか....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
降りのときは、油紙の天幕の中央が、天水桶のように深くなって、U字形に雨水の重味で垂れ下る、今にも底を突き抜きそうであるから、連中底の下から手で押し上げると、雨水....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
半※を首に巻いたのが、鼠色の兵子帯で、ヌーと出ると、捻っても旋っても、眦と一所に垂れ下る髯の尖端を、グイと揉み、 「おいでい。」 と太い声で、右の洋冊を横縦に....
運命のままに」より 著者:豊島与志雄
おもて》の眉の細い、そして金歯を時々笑顔の口元に光らしていた。長い髪が額に二三筋垂れ下るのを無雑作にかき上げる癖と、切れの長い眼を瞬く癖とを、私は見落さなかった....
奇怪な話」より 著者:豊島与志雄
薄闇の頃、ともすると、上方の茂みを貫いて、中天から、ぶらりと、大きな馬の足が一本垂れ下る……というのである。 その話は、私が幼い頃、祖母や其他の人々からきいた....
けむりを吐かぬ煙突」より 著者:夢野久作
に早いらしく、二夏ばかり過すうちに絶頂の避雷針の処まで捲き上げてしまって、房々と垂れ下る位になった。すると又それに連れて図書館の外側の手入れが不充分になったらし....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
しないのです。ところが大島だけは、そうではない。黒い火口があって、内輪山の斜面を垂れ下る二本半の熔岩があって、銀色の沙漠がそれをとりまいて、その周囲にいわゆる山....
魔都」より 著者:久生十蘭
ってしまった。苦悩の色がありありと頬に射しかけ、双の瞼はさながら祷るが如く、低く垂れ下る。銃士の一人がスイッチを入れて行ったと見え、壁の上に口を開けた拡声器から....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
あり。一人の女子その機を織る。綾糸は、青、赤、黄、白、黒の五色とす。糸は天井より垂れ下る。 夕暮。 女子 (機を織りつつ歌う) 美しき色ある糸の 綾を織る人の一....