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「垂死〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

垂死の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
ここに、得物《えもの》をふるって、必死の戦いをつづけている。が、それらは皆、この垂死の老婆にとって、相手の侍と同じような、行路の人に過ぎないのであろう。――猪熊....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
――」 「じゃ一番さきに寝るかな。」 慎太郎はまた弟のE・C・Cに火をつけた。垂死《すいし》の母を見て来た癖に、もう内心ははしゃいでいる彼自身の軽薄を憎みなが....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
が、その姿に眼をやると、彼女の顔は不思議にも、眉目《びもく》の形こそ変らないが、垂死《すいし》の老婆と同じ事であった。 彼は恐怖と嫌悪《けんお》とに、わななく....
点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
を食いに来ないかと云う電話をかけた。僕はその新聞記者が近く渡米するのを口実にし、垂死《すいし》の僕の父を残したまま、築地の或待合へ出かけて行った。 僕等は四五....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
の憔悴《しょうすい》を増すのみなりけり。 渠は想えり。濶達豪放の女丈夫! 渠は垂死の病蓐《びょうじょく》に横たわらんとも、けっしてかくのごとき衰容をなさざるべ....
さようなら」より 著者:田中英光
流行したチフスに感染し、苦しみもがいて死んでいった。ぼくは一度、震災の前に、この垂死の老祖父を笑わせる積りで、手捕りにしたヤンマ蜻蛉《とんぼ》を、彼のいかつい土....
浮浪漫語」より 著者:辻潤
う――恐らく、そのような女性の片鱗をさえ仰ぐことが出来ずに何処かの野末か陋巷に野垂死をすることになるだろう――そうなったら、それまでの話である。死んでから先のこ....
一兵卒」より 著者:田山花袋
っていた。日本兵のなすに足らざるを言って、虹のごとき気焔を吐いた。その室に、今、垂死の兵士の叫喚が響き渡る。 「苦しい、苦しい、苦しい!」 寂としている。蟋....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
、あなたの分別一つでモザンビイクへ帰れる。それとも、奴らに義理をたてて、ここで野垂死にしますかね」 「でもあたし、あなたのいう意味がすこしも分りませんけど」 「....
天馬」より 著者:金史良
ても朝鮮の一般の人々に野良犬同様に見放された現在の彼は、大村にまで捨てられては野垂死《のたれじに》するより致し方がなかった。が、今はもう朝鮮にも愛国熱は漸次高ま....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
が頭を握り拳でもってゴツンゴツンと殴った。その痛々しい響は、物云いたげな有坂の下垂死体の前に、いつまでも続いていた。 13 杜はミチミを連れて、久方....
」より 著者:寺田寅彦
道の砂を捲いて老翁を包んだ時|余は深き深き空想を呼起こした。しかしてこの哀れなる垂死の人の生涯を夢みた時、あたかもこの人の今の境遇が余の未来を現わしていて、余自....
南国太平記」より 著者:直木三十五
せんがためには、帰参する外にないぞ。手柄を立てて――このまま乏しい金がつきて、野垂死をして、それで完うなるような、女々しい恋を、わしは武士の恋とは思わぬ。心中沙....
子規居士と余」より 著者:高浜虚子
しつつ文学界に奮闘を試みたのであった。 十一 今から考えて見ても、殆ど垂死の大病に取りつかれていた居士を失望さしたという事は申訳のないことであった。今....
女房ども」より 著者:神西清
けなかったんで……。県市で熱病にかかって、そこの監獄で死にました。」 「犬にゃ野垂死にが丁度似合っとる」と、ヂューヂャが言った。 「クージカは送り還されて来まし....