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垂涎
「垂涎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
垂涎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蘭学事始」より 著者:菊池寛
も、彼の心は激しい好奇と感激とにみたされずにはいなかった。彼は、心の底からそれに
垂涎《すいぜん》した。価は、二十五人扶持の彼にとっては、力に余る三両という大金だ....
「硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
っぽ》を垂れて、私の方へ背中を向けていた。手水鉢を離れた時、私は彼の口から流れる
垂涎《よだれ》を見た。 「どうかしてやらないといけない。病気だから」と云って、私....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
が心配だとさ」
「え」と云いながら顔を上げた独仙君の山羊髯《やぎひげ》を伝わって
垂涎《よだれ》が一筋長々と流れて、蝸牛《かたつむり》の這った迹《あと》のように歴....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
空んとした図書室を横切って、突当りの明りが差している扉を開くと、そこは、好事家に
垂涎の思いをさせている、降矢木の書庫になっていた。二十層あまりに区切られている、....
「共軛回転弾」より 著者:海野十三
いた。それを一つ一つ見ていく卿は、溜息のつきどおしだ。それというのがどれもこれも
垂涎三千|丈の価値あるものばかり。三段式の上陸用舟艇あり、超ロケット爆弾あり、潜....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
日|硯《けん》を発したばかりの色なんです、今時の代用安絵具とは違います、絵かきが
垂涎《すいえん》しておりますよ、こんな朱が欲しいものだ、ドコカラ来た、舶来? 国....
「雪の宿り」より 著者:神西清
寺ヲ貴バザルナリ。』またこうも言われた。『法隆|将ニ季ナラントシ、妄庸ノ徒声利ニ
垂涎シ、粉焉沓然、風ヲ成シ俗ヲ成ス。』人は惜しむらくは罵詈にすぎぬという。しかし....
「新疆所感」より 著者:日野強
し、また寸壌尺地の微といえどもこれを等閑に付することなし。新疆の如きまた彼が多年
垂涎する所にして、これがためには新疆の死命を制しある伊犂を併呑するのもっとも捷路....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
たものの室内の品物を見渡した時には、ルパンの怒気もやや和らいだ。そこには好事家の
垂涎三千丈すべき数万金に値する家具家什ばかり。ルパンはしばし我れを忘れて恍惚とし....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
と思ったよ。それから又満蒙資源館を見た時、成程ナー満洲の資源は無限だ、米国などが
垂涎三尺、この満洲に勢力を延ばそうとして事毎に不愉快なる小刀細工を我国に行ったり....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
はなかろうかとおもわれるほどまるで仙境に遊ぶ心持ちがされた。風景専門の人がいたら
垂涎されるに違いない、いい画題がいくらも見あたった。 蘇州の情緒....
「十六、七のころ」より 著者:永井荷風
を知ることが出来るが、食った刹那《せつな》の香味に至っては、これを語って人をして
垂涎《すいぜん》三尺たらしむるには、優れたる弁舌が入用になるわけである。そして、....
「茶美生活」より 著者:北大路魯山人
んとしても悟ってかからねばならぬと、私は警告しておいた。 いわゆるお茶人たちが
垂涎おかない茶道具といえば、まず三世紀前の人によって作られたものと考えておいて間....
「徒歩旅行を読む」より 著者:正岡子規
を見てこの記者の西瓜好きなるに驚いたというよりもむしろ西瓜好きなる余自身は三尺の
垂涎《すいえん》を禁ずる事が出来なかった。毎日西瓜の切売を食うような楽みは行脚的....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
時として及ぶ限りの周到なる準備が為された。 一部をワルソー方向に進めてロシヤの
垂涎の地である同地方に露軍を牽制し、東普に集めた主力軍をもってこの敵の側背を衝き....