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埃
「埃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
埃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
が勝つとも、しばらくの間はわからない。そこへ一人、裏へまわった仲間の一人が、汗と
埃《ほこり》とにまみれながら、二三か所薄手を負うた様子で、血に染まったままかけつ....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
はもの心を覚えてから、絶えず本所の町々を愛した。並み木もない本所の町々はいつも砂
埃《すなぼこ》りにまみれていた。が、幼い信輔に自然の美しさを教えたのはやはり本所....
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
手紙も終ることにしよう。ラッサは今家々の庭に桃の花のまっ盛りである。きょうは幸い
埃風《ほこりかぜ》も吹かない。僕等はこれから監獄《かんごく》の前へ、従兄妹同志《....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
ともその経済的意味を重んじていたことは事実である。しかし本を読まなければならぬ。
埃及《エジプト》の煙草《たばこ》も吸わなければならぬ。音楽会の椅子《いす》にも坐....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
人間に見えない霊と、戦わなければなりません。あなたは昔|紅海《こうかい》の底に、
埃及《エジプト》の軍勢《ぐんぜい》を御沈めになりました。この国の霊の力強い事は、....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
る御威光《ごいこう》、大いなる御威勢《ごいせい》を以て天下《あまくだ》り給い、土
埃《つちほこり》になりたる人々の色身《しきしん》を、もとの霊魂《アニマ》に併《あ....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
は若楓《わかかえで》が枝を伸《の》ばしています。その枝に半ば遮《さえぎ》られた、
埃《ほこり》だらけの硝子《ガラス》窓の中にはずんぐりした小倉服《こくらふく》の青....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
洋人じみた顔が、下から赤い火に照らされると、濃い煙が疎《まばら》な鬚をかすめて、
埃及《エジプト》の匂をぷんとさせる。本間さんはそれを見ると何故か急にこの老紳士が....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
どう》な顔をしているが、これも生憎《あいにく》、鼻が虧《か》けている。その前の、
埃のつもった床に、積重ねてあるのは、紙銭《しせん》であろう。これは、うす暗い中に....
「少年」より 著者:芥川竜之介
彼女をこう呼んでいた)は彼を顧みながら、人通りの少い道の上を指《ゆびさ》した。土
埃《つちほこり》の乾いた道の上にはかなり太い線が一すじ、薄うすと向うへ走っている....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
叫び声が、もう一度頭上の空気を裂《さ》いた。彼は思わず首を縮《ちぢ》めながら、砂
埃《すなほこり》の立つのを避けるためか、手巾《ハンカチ》に鼻を掩《おお》っていた....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
ました。ここも紫檀《したん》の椅子《いす》机が、清らかに並べてありながら、冷たい
埃《ほこり》の臭《にお》いがする、――やはり荒廃《こうはい》の気が鋪甎《ほせん》....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
んきょう》四年三月の末である。門の外では、生暖《なまあたたか》い風が、桜の花と砂
埃《すなほこり》とを、一つに武者窓へふきつけている。林右衛門は、その風の中に立っ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
だった。黄塵とは蒙古《もうこ》の春風《しゅんぷう》の北京《ペキン》へ運んで来る砂
埃《すなほこ》りである。「順天時報《じゅんてんじほう》」の記事によれば、当日の黄....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
と、よう似た眼をしていられたせいでもござろう。」
その中《うち》にクリストは、
埃と汗とにまみれながら、折から通りかかった彼の戸口に足を止《とど》めて、暫く息を....