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「埃っぽい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

埃っぽいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
猫町」より 著者:萩原朔太郎
情態が一変していた。町には平凡な商家が並び、どこの田舎にも見かけるような、疲れた埃っぽい人たちが、白昼の乾《かわ》いた街を歩いていた。あの蠱惑的《こわくてき》な....
疑問の金塊」より 著者:海野十三
りそうなそれも大きな硝子壜が並んでいる。ひどい蜘蛛の巣が到るところに掛っている。埃っぽい上に、なんだか鼻をつくような酸っぱい匂いがする。しかし犯人らしい人影は見....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
のだった。内部は、湿っぽい密閉された室特有の闇で、そこからは、濁りきっていて妙に埃っぽい、咽喉を擽るような空気が流れ出てくるのだ。そして、懐中電燈の円い光の中に....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
った。 ここは水に臨んでいるというだけでも、部屋へ入った瞬間、だれでもちょっと埃っぽい巷から遠ざかった気分になるのであったが、庸三たちには格別身分不相応という....
」より 著者:徳田秋声
が目についた。 「何も変ったことはなかったの。」 お増は階下で着更えをすると、埃っぽい顔を洗ったり、袋から出した懐中鏡で、気持のわるい頭髪に櫛を入れたりしてい....
天馬」より 著者:金史良
くたに疲れ、一先ずそこらのとあるきたならしい立飲屋へ潜《もぐ》り込んだのである。埃っぽい明るみの中では、みすぼらしい人々が各々二三人ずつ一団をなして相寄りかたま....
フランダースの犬」より 著者:菊池寛
ッシュは、いつもの通り、あの有名な画家ルーベンスが生れたアントワープの町に通ずる埃っぽい気持ちの悪い道を、あえぎあえぎ、車をひいて行きました。車には、鍋類、鉄皿....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
だった。 寡黙な、芸の引き立たないこの男は、容貌にも特徴がなく、いつも髪の毛に埃っぽい匂いがする――とまあそういったような、何から何まで役者らしくない男だった....
決闘」より 著者:神西清
イレンコの声だ。 焚火の傍に戻って来た補祭は、今度は七月の暑い日に十字架行列が埃っぽい道を行く有様を心に描いた。先頭には百姓たちが教会の旗を担いで行く。女房や....
棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
その頃この小さな町の農事試験場の技師をして、官舎に住んでいましたが、田圃を距てた埃っぽい昔の街道の向う側に城のように巍然たる石垣や土手をつらねているのが棚田の家....
長崎の鐘」より 著者:永井隆
回され、がらがらと音をたてて、床に転がされている私の身体の上に積み重なってくる。埃っぽい風がいきなり鼻の奥へ突っ込んできて、息がつまる。私は目をかっと見開いて、....
帯広まで」より 著者:林芙美子
道々、九太の勤めている映画館の前を通った。自転車を引きずった小僧が、たった一人、埃っぽい絵看板を見上げている。小舎の前にはビラが散り、幟が風に鳴っている。帯広の....
澪標」より 著者:外村繁
ある。 しかし私の下宿からは神泉苑も近かった。神泉苑は当時既に池には水もなく、埃っぽい小庭園に過ぎなかったが、私の好む休みの場所となった。二条城も私の散歩の範....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ことなり、や、お疲れさま、どうぞとあったので、そこで一同が安心して鞄を投げ出し、埃っぽい編上げの紐も解いたのである。だが少々渋ったのは桃色のスカートの、鼠色の華....
春泥」より 著者:久保田万太郎
感心したように田代はいった。 ……その坂は尽きた。が、それよりも、もっと広い、埃っぽい傾斜がすぐまた三人のまえに展けた。――それを上りつめたとき、三人は、省線....