埋み火[語句情報] » 埋み火

「埋み火〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

埋み火の前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
名人地獄」より 著者:国枝史郎
じようともしない。 遠くで追分が聞こえていた。 今の雪風に煽られたのか、炉の埋み火が燃え上がった。 サラサラと落ちる雪の音。…… 「身を苦しめるが罪障消滅....
三国志」より 著者:吉川英治
帝の御意をこう動かした。 もとより献帝のご隠忍は年久しいことだったので、胸中の埋み火は、たちまち、理性の灰を除いてしまった。きびしい監視の眼をしのんで秘勅の一....
私本太平記」より 著者:吉川英治
った。 「……だが、ふしぎ」 その彼にも、むかしの恋人のみは忘れえない。初老の埋み火は亡き女の面影をあたためている。 もし若いころの恋が成っていたら、子も生....
私本太平記」より 著者:吉川英治
も何も失いかけるなどは、これまで彼も覚えなかったことだろう。とつぜん、自分の中の埋み火があげた炎に、どうにも寝つかれない寝返りを、いくどとなくしている高氏としか....
旗岡巡査」より 著者:吉川英治
求めてもあり得ない。 こう冷たく頑なに思い込んで来た旗岡巡査は、突然、十数年の埋み火を掻き立てられるように、瞼を赤くし、今にも声をあげて泣くかのように顔の筋を....
大岡越前」より 著者:吉川英治
わけて、お燕が、ふと「父」ということばでも洩らそうものなら、かの女の、呪咀の埋み火は、すぐ炎になって、全身を焦いた。 久しいあいだ、かの女の愛は、お燕ひと....