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埋める
「埋める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
埋めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
ぬ。ただ灰色の石と灰色の墓である。その中に線香の紙がきわだって赤い。これでも人を
埋めるのだ。私はこの石ばかりの墓場が何かのシンボルのような気がした。今でもあの荒....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
出すと共に、U氏を思い出すことを忘れてはならない。そしてこの恐ろしい溝《みぞ》を
埋める工夫をしなければならない。お前たちの母上の死はお前たちの愛をそこまで拡げさ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
私を私以上に立派に見せようとする虚妄な心は有り余るほど持っていたけれども、そこに
埋めることの出来ない苦痛をも全く失ってはいなかった。そして或る時には、烏が鵜の真....
「ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
んです」 帆村は女の艶かしい肩を叩いた。 すると女は、ますます顔を夜具の中に
埋めるようにして全身を戦かせながら、左手をツとあげて、無言のまま表口寄りの隣室を....
「赤外線男」より 著者:海野十三
撃されはしなかったけれど、内心大いに安からぬものがあった。彼は書斎のソファに身を
埋めると細巻のハバナに火を点けて、ウットリと紫の煙をはいた。彼は元々赤外線男など....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
曝露しては、妾の生活は滅茶滅茶になることがハッキリ分っていた。それは自分を墓穴に
埋めるに等しかった。どうして堪えられよう。 「速水さん。お願いですから、智恵を借....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
馬では、一度掘れた爆弾孔を埋めたのに、後ほど又同じところに落弾し穴を明けた。もう
埋める気がしなくなったそうな。 一月四日 ◯一日、二日、三日の夜は空襲なく、お....
「火星探険」より 著者:海野十三
、お前さまの将来は“この世界の涯まで探しても寝床一つ持てなくなるし、自分の身体を
埋める墓場さえこの世界には用意されないであろう”といわれたでねえか。やれまあお気....
「空中漂流一週間」より 著者:海野十三
うつらぬ。このひろびろとした雲海は、天国へ到る道であるのかもしれない。二つの屍を
埋めるのは、どの雲のあたりであろうかなどと、「火の玉」少尉もあまりの荒涼たる天上....
「流線間諜」より 著者:海野十三
かピラミッドの工事よりもやさしいのかも知れない」 「大佐どの。なぜこんなところを
埋めるのでしょう。軍事上どんな役に立つのです」 「さあそれは……」と牧山大佐は腕....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
ら颯と大滝を揺落すように、泡沫とも、しぶきとも、粉とも、灰とも、針とも分かず、降
埋める。 「あっ。」 私はまた倒れました。 怪火に映る、その大滝の雪は、目の....
「虫喰い算大会」より 著者:海野十三
とがはっきり分る。分っているのは、答の千位の数字が7だというだけである。この穴を
埋める答がもしも出たとしたら、それは出鱈目のまぐれ当りか、それとも初めから問題を....
「山吹」より 著者:泉鏡花
ってやるべえ。だが、蛇塚、猫塚、狐塚よ。塚といえば、これ突流すではあんめえ。土に
埋めるだな、土葬にしべえ。(半ばくされたる鯉の、肥えて大なるを水より引上ぐ。客者....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
す進んで南球の別天地に活動せしめんとする意にほかならず。今日の青年は「埋」(骨を
埋めるのはなにも故郷の地だけとは限らない、南半球の地の至るところに骨を
埋めること....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
朴にその憂患に堪えてゆくだろう。そう思わずにはいられなかった。彼等は息子の遺骨を
埋めることによって、彼等の新しい土地に対して、もはや自分達の墓墳の地もここにおい....