埒外[語句情報] » 埒外

「埒外〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

埒外の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ならぬ。こう云うゲエムの莫迦莫迦《ばかばか》しさに憤慨を禁じ得ないものはさっさと埒外《らちがい》に歩み去るが好い。自殺も亦確かに一便法である。しかし人生の競技場....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
等はどの国へ嫌疑を向けるべきだろうかね、もちろんアメリカとソ連は吟味ずみで、その埒外《らちがい》だ。そこで僕は今、その嫌疑を……」 「待ち給え!」と水戸は小さく....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
ら、しぶきを全身に浴びつつ水に咽せて顔を正面に向けて進むことはできない。ようやく埒外に出れば、それからは流れに従って行くのであるが、先の日に石や土俵を積んで防禦....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
日は余等三人余作君及貢君の案内で、放牧場の農家を見に出かける。阪を上って放牧場の埒外を南へ下り、ニタトロマップの細流を渡り、斗満殖民地入口と筆太に書いた棒杭を右....
道徳の観念」より 著者:戸坂潤
局それによって生じる道徳なるものの観念は、今日のブルジョア常識による道徳観念の、埒外へ出るものではない。道徳は非歴史的で超階級的で、普遍的で形式的であり、真に社....
読書法」より 著者:戸坂潤
機構とは殆んど無縁でさえあったと云わねばならぬ。その核心が所謂経済学「方法論」の埒外に出ることの出来なかった理由もここから来たのであった。左右田博士自身の経済哲....
白い下地」より 著者:泉鏡花
色といえば、恋とか、色情とかいう方面に就いての題目ではあろうが、僕は大に埒外に走って一番これを色彩という側に取ろう、そのかわり、一寸仇ッぽい。 色は兎....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
〔対象〕を意味することなど、もはや少しも問題ではないかのように。――で自由主義の埒外へ一歩でも踏み出した宗教意識は、やがて日本主義の埒内に収容されるのだ、という....
現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
ては尽すことが出来なかったわけである。 固有に幾何学的なものは、論理的なものの埒外に逸した処のものである。だが吾々は最後にも一つの場合を付け加えよう。質的幾何....
猫性」より 著者:豊島与志雄
ものに対する驚異と恐怖とから、猫に関する怪談が生れる。猫に関する怪談は、道徳美の埒外に、あるものが多く、たとい報恩とか復讐とかいうことから発したものにあってさえ....
文学への実感について」より 著者:豊島与志雄
下に於て、現実そのものの攻勢的跳梁があり、而もその現実自体が、在来の観念の秩序の埒外にはみ出すものであって、先の見通しがなかなかつき難いばかりか、当面の整理さえ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
、彼はことに喜びの様子を示した。そしてクリストフが情熱に駆られて、おのれの思想の埒外《らちがい》にまで飛び出し、とてつもない臆説《おくせつ》を吐いて、相手を怒号....
わが戦争に対処せる工夫の数々」より 著者:坂口安吾
をたてるわけにはゆかない。だから「兵隊にとられゝば」もう仕方がない。これは工夫の埒外で、諦めざるを得ないのである。 だから戦争と私との関係、第一条は、兵隊にと....
理想の女」より 著者:坂口安吾
然派の文学以来、戯作性といふものが通俗なるもの、純粋ならざるものとして、純文学の埒外へ捨て去られた。それは、実際に於ては、むしろ文学精神の退化であることを、彼ら....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
いのです!」 彼は女王を宥めようと努めた。しかし「彼女の激怒は、いっさいの理由の埒外にあった」 彼女はどんな弁解をも聞こうともせず、そして、この名づけ児が、結局....