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「培う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

培うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
油地獄で、むかしキリシタンをゆでころばしたようには見えないで、黒奴が珊瑚畑に花を培う趣がある。――ここは雪国だ、あれへ、ちらちらと雪が掛ったら、真珠が降るように....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
に対する自分の慾望を実現しようとも望まなかったらしい。胸に思い溜めた情熱を美しく培うことに力一ぱいらしくあった。もし娘がそれを望んで慧鶴と結婚とでもいう事が眼の....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
した。むす子は若いいのちの遣瀬ない愛着を新興芸術に持ち、新興芸術を通して、それを培う巴里の土地に親しんだむす子は、東洋の芸術家の挺身隊を一人で引受けたような決心....
民衆芸術の精神」より 著者:小川未明
る者に即して思う。画家にして、同時に熱烈な詩人であったミレーの永久に民衆の良心に培う叫びが聞かれる所以なのです。 私は、思い出すまゝ、偶然ミレーを最初に例とし....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
古今調からの離脱、世襲の芸道の建立、有心、歌における「詩」の喪失の警告、「詩」を培うものとしての漢詩、漢詩と和歌との融合 十一 為家 十二 二条・京極・冷泉三家....
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
は無論である。人妻であると云う道徳的な柵が取払れて、その古木が却って、彼の慾情を培う、薪木として投ぜられたようである。彼は、娘や後家や歌妓や遊女などに、相対した....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
万人の上に祝福の手を延ばすように、博く大きくなりたいのである。魂の内なる善の芽を培うて、「空の鳥来たってその影に棲む」ような豊かな大樹となしたいのである。造り主....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
趣味の初めだった。それ以後作文は私のひそかな得意となっていた。 私の美の感情を培うたものには政子姉と、従姉の藤子とが私より四つ、五つ年上で、美しい娘として三味....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
前を襲っているのだ。霊の叫はどこにある。 自分だけの世界を造って、それを負うて、培うた胸、己達霊どもと同じ高さの位置に立とうと、 歓喜の震を以て張った胸はどこに....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ない。家を出ればすぐ官有林のあるような村もある。寒い地方に必要な薪炭ややせた土を培うための芝草を得たいにも、近傍付近は皆官有地であるような場所もある。木曾谷の人....
地上」より 著者:島田清次郎
悦ばずにいられなかった。平一郎にとってこのすぐれた女二人――母と冬子との愛が彼を培うに役立ったことは言うまでもない。そうして三年前にお光の寝床を唯一の避難所とし....
旅人の言」より 著者:豊島与志雄
て、自らの眼を以て、大空の姿を仰ぐがいいのだ。そして自らの手を以て、自らの生命を培うがいいのだ。はてなき道は遠くとも、彼方の地平線から大きな誘惑が私を招いている....
夢の図」より 著者:豊島与志雄
は、遠い地平に、一人の子供が、やはり砂地に鶴嘴をうちこんでいる。一粒の麦か米かを培うつもりなのであろうか、それとも、ただ遊んでいるのであろうか。 瞬《まばた》....
若い娘の倫理」より 著者:宮本百合子
ずたゆまず自分がこうと思う方向へ根気よい爪先を向けて生きてゆく。そのことに自信を培うしかない時が来ているのだと思うがどうだろう。 目下のところ、解決された形で....
抱茗荷の説」より 著者:山本禾太郎
られるような原因があったのであろうか、そういえば父が近郷近在に聞こえるほど善根を培うことに、なにか原因がありはしなかったか。祖母は実子である君子の父についてはあ....