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基調
「基調〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
基調の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
種の人間だけが本当の媚態を知っているのである。そうして、かような媚態が「いき」の
基調たる「色っぽさ」を規定している。
「いき」の第二の徴表は「意気」すなわち「....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
わるべかりしものに対して愛着を繋ぐ。そして現在をも未来をも能うべくんば過去という
基調によって導こうとする。凡ての美しい夢は、経験の結果から生れ出る。経験そのもの....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
から見るこの谷窪の新緑は今が盛りだった。木の葉ともいえない華やかさで、梢は新緑を
基調とした紅茶系統からやや紫がかった若葉の五色の染め分けを振り捌いている。それが....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
昔ゴードゥン・クレイグ時代の舞台装置を想い出すけれども、そういう外見生動に乏しい
基調色が、なおいっそうこの室を沈鬱なものにしていた。ここもやはり、前室と同様荒れ....
「生の拡充」より 著者:大杉栄
加えたいと思う。 生ということ、生の拡充ということは、言うまでもなく近代思想の
基調である。近代思想のアルファでありオメガである。しからば生とは何か、生の拡充と....
「桃のある風景」より 著者:岡本かの子
花である。死にして生、そこに芳烈な匂いさえも感ぜられる。私は、心理の共感性作用を
基調にするこの歴史上の芸術の証明により、自分の特異性に普遍性を見出して、ほぼ生き....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
の招きに応ずることを嫌ってもいた。しかるにそれは外見上のことである。鴎外の生活の
基調をなすものは、空想に対する異常な恐怖であったろう。空想には思想の悪魔性と物慾....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
のだとか、何でも知っていて私に話してくれるのだった。 私の文学の素地、その根本
基調はたしかに浄瑠璃から来たものだ。私の感情教育、美的教育はその義理人情のムード....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
のセリフがとくに声を通りにくくしているという一面があるにはあります。リアリズムを
基調にした脚本を、多くはリアリスチックな演技で演じるからです。しかし、それにして....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
だ、様式的には短歌から分離しきって居ない。それは、きれ字を、凡人生活の上に移して
基調とした芭蕉の出た所以も、納得がゆく。同時に長い年月を空費した短歌から見ると、....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
安らかな気持ちです。苦しみも悲しみも忍び受ける、淋しい心地はいよいよたしかに私の
基調となってゆきます。その地に立ってしかも世界のさまざまの Irrungen を....
「握り寿司の名人」より 著者:北大路魯山人
ている。このごろ京阪流箱寿司は、上方の何処の地方にもはやってはいるが、なれ寿司を
基調とする調理に意気のない野暮ったさが、即興に生きる江戸ッ子には、とんと迎えられ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
ったのであった。それには無理もない点があった。一体『新古今』の気分なり歌風なりの
基調になったものを、定家などが身をもって創出したのは、治承から正治へかけての二十....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
。真如、実相、法界、涅槃みな同じ意義)を知れば大生命の根本性質ですから、大生命の
基調になる知識にも通じられ、その中に游いでいる私たち魚にどんなに便利で気強いか知....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
した気持を払い退けることができなかった。あまりにも暗い刺戟的な作――つまりはその
基調となっている現在の生活を棄てなければ、出て行かなければ――それが第一の問題な....