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堅く
「堅く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
堅くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
に、自分の行く末を見せつけられたような心もちがした。そうして、思わず下くちびるを
堅くかんだ。――
「ことに、このごろは、沙金《しゃきん》もおれを避けている。たま....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
、ひそかに二条|西洞院《にしのとういん》の御屋形まで参りますと、御門《ごもん》は
堅く鎖《とざ》してあって、いくら音なっても叩いても、開ける気色《けしき》はござい....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
て一行に加わった、武士たる自分の面目《めんぼく》が立たぬ。――彼はこう心の内に、
堅く思いつめていたのであった。
松山へ来てから二月《ふたつき》余り後《のち》、....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
、一体どこから来るのであろう。――内蔵助は、青空に象嵌《ぞうがん》をしたような、
堅く冷《つめた》い花を仰ぎながら、いつまでもじっと彳《たたず》んでいた。
(大正六年八月十五日)....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
じゃ。今後は必ずとも、他出無用に致すように、別して、出仕登城の儀は、その方より、
堅くさし止むるがよい。」
佐渡守は、こう云って、じろりと宇左衛門を見た。
「唯....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
、今度は両手を耳へ当てながら、さも一大事らしく囁いたと云うのです。新蔵は我知らず
堅くなって、じっと耳を澄ませましたが、襖一重向うに隠れている、お敏のけはいを除い....
「或る女」より 著者:有島武郎
に浮かび上がって来た。葉子の神経は磁石《じしゃく》に吸い寄せられた砂鉄のように、
堅くこの一つの幻像の上に集注して、車内にあった時と同様な緊張した恐ろしい状態に返....
「或る女」より 著者:有島武郎
てそこにしゃがんでしまって、苦《にが》い涙を泣き始めた。
懺悔《ざんげ》の門の
堅く閉ざされた暗い道がただ一筋、葉子の心の目には行く手に見やられるばかりだった。....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
と一緒に赤坊を卸して胸に抱き取った。乳房をあてがって見たが乳は枯れていた。赤坊は
堅くなりかかった歯齦《はぐき》でいやというほどそれを噛《か》んだ。そして泣き募っ....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
そうしてもあまりの心の顛倒《てんとう》に矢張り涙は出て来なかった。
彼は心まで
堅くなってじっとして立っていた。がもう黙ってはいられないような気分になってしまっ....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
るようでもじもじしていますと、ジムはいそいそとぶら下げている僕の手を引張り出して
堅く握ってくれました。僕はもうなんといってこの嬉《うれ》しさを表せばいいのか分ら....
「星座」より 著者:有島武郎
かりだった。
「変だなあ」
そう渡瀬の唇はおのずから言葉となった。そして鉛筆は
堅くその手に握られたまま停止してしまった。
「そんなむずかしい計算をしなければこ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
から。 不思議なものは人の心の働きだ。この声一つだった。この声一つが君と私とを
堅く結びつけてしまったのだった。私は結局君をいろいろに邪推した事を悔いながらやさ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
にありながら、根ざし深く潜在する尊い要素に自分のけだかさを化合させて、巌のように
堅く立つその態度は、私を驚かせ羨ませる。私は全くそれと反対なことをしていたようだ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
縛は、肉体の消滅と同時に、跡方もなく断絶する。之に反して、魂と魂との一致によりて
堅く結ばれたる夫婦関係は、肉体の羈絆を脱した暁に於て、更に一層の強度を加える。二....