堤防[語句情報] »
堤防
「堤防〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
堤防の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ともなく聞き流して居りましたが、本願寺の別院の屋根が落ちた話、船町《ふなまち》の
堤防が崩れた話、俵町《たわらまち》の往来の土が裂けた話――とそれからそれへ話がは....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
り着きぬ。蔦《つた》をその身に絡《から》めたるまま枯木は冷然として答えもなさず、
堤防の上につと立ちて、角燈片手に振り翳《かざ》し、水をきっと瞰下《みお》ろしたる....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
ある。 賤機山、浅間を吹降す風の強い、寒い日で。寂しい屋敷町を抜けたり、大川の
堤防を伝ったりして阿部川の橋の袂へ出て、俥は一軒の餅屋へ入った。 色白で、赤い....
「映画と癩の問題」より 著者:伊丹万作
いまだに忘れることができない。 私の生れた町の側に石手川という川があり、ここの
堤防にはよく癩患者が野宿をしていた。 あるとき私はこの
堤防の道幅の狭いところを....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
る林に囲まれた二つ三つの広い邸宅だのがあるきりで、その間間には起伏のある草茫々の
堤防や、赤土がむき出しになっている大小の崖や、池とも水溜ともつかぬ濠などがあって....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
のバス通りのすぐ左側に於いて千軒ばかり焼けた。 ◯大橋の、こっちから行くと左側の
堤防に不発弾がおち、電車は大橋→渋谷間が五、六日止まり、その間歩かせられた。 ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
あり、炭焼小屋を包んだ処もございます。 其処で、この山伝いの路は、崕の上を高い
堤防を行く形、時々、島や白帆の見晴しへ出ますばかり、あとは生繁って真暗で、今時は....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
信じたですね。 さあ思い立っては矢も楯も堪らない、渡り懸けた橋を取って返して、
堤防伝いに川上へ。 後でまた渡を越えなければならない路ですがね、橋から見ると山....
「古狢」より 著者:泉鏡花
かれたんでしょう。血の池で、白魚が湧いたように、お藻代さんの、顔だの、頬だのが。
堤防を離れた、電信のはりがねの上の、あの辺……崖の中途の椎の枝に、飛上った黒髪が....
「転機」より 著者:伊藤野枝
不案内な道を教えられるままに歩いて古河の町外れまで来ると、通りは思いがけなく、まだ新らしい高い
堤防で遮られている道ばたで、子供を遊ばせている老婆に私はまた尋ねた。老婆はけげん....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
静かなれば、偏に風情を添えたよう。青い山から靄の麓へ架け渡したようにも見え、低い
堤防の、茅屋から茅屋の軒へ、階子を横えたようにも見え、とある大家の、物好に、長く....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
らば、心の悩ましさ忘られむ。 渡り越せば、仮小屋とハヤ川一ツ隔たりたり。麓路は
堤防とならびて、小家四五軒、蒼白きこの夜の色に、氷のなかに凍てたるが、透せば見ゆ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
神通の支流で、幅は十間に足りないけれども、わずかの雨にもたちまち暴溢て、しばしば
堤防を崩す名代の荒河。橋の詰には向い合って二軒、蔵屋、鍵屋と名ばかり厳しい、蛍狩....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
で、一人前いくらかずつ取って渡しました。 橋のあったのは、市を少し離れた処で、
堤防に松の木が並んで植っていて、橋の袂に榎が一本、時雨榎とかいうのであった。 ....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
すあと、割醤油はもう空で、葱がじりじり焦げつくのに、白滝は水気を去らず、生豆府が
堤防を築き、渠なって湯至るの観がある。 「これじゃ、牛鍋の湯豆府ですのね。」 ....