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堪忍袋
「堪忍袋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
堪忍袋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
を寝言のようにいうのを、始めの間は聞き直したり、補ったりしていたが、やがて場主は
堪忍袋を切らしたという風にこう怒鳴《どな》ったのだ。仁右衛門は高笑いの一とくぎり....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
あらわれで、一般の敬意や同情を受けていない事は明らかである。 とうとう当局では
堪忍袋の緒を切らして、去る十月中旬、月島のバラックであったかに吏員を派して、片っ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に追い使って、挙げ句の果てに殺してしまって、老後の兄を路頭に迷わせる。おれももう
堪忍袋の緒が切れた。おととしは女房に死なれ、ことしは娘に死なれ、自分ひとり生き残....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
い払ってしまおうじゃないか。息子も可哀そうだし、近所も迷惑だ」 長屋のひとりが
堪忍袋の緒を切ってこう云い出すと、長屋一同もすぐに同意した。直接に猫婆に談判して....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
うような、あてこすりの文句が一々こっちの痛いところに触るので、今宮さんはいよ/\
堪忍袋の緒を切りました。 「おのれ不埓な奴だ。この宿場の問屋場へ引渡すからそう思....
「縮図」より 著者:徳田秋声
しまった時の後の気持と立場も考えられ、終いに口を噤み硬くなってしまった。博士も、
堪忍袋の緒を切らせ、ビールの酔いもさめて蒼くなっていた。 「裁かるるジャンヌ」を....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
が輩は、だ、長駆|渤海湾に乗り込んで、太沽の砲台に砲丸の一つもお見舞い申さんと、
堪忍袋がたまらん」 「それこそ袋のなかに入るも同然、帰路を絶たれたらどうです?」....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
て、米友の面上めがけて吐きかけようとしたから、 「野郎!」 ここに至って米友の
堪忍袋の緒はプツリと切れました。片手に携えていた杖を橋の上にさしおくと、のしかか....
「空気男」より 著者:海野十三
たッ、早く明けないと……昨日のお処刑を忘れたのかネ、お前さんは。よオし、もう妾ゃ
堪忍袋の緒が切れた。鍵ぐらいなアんだッ」 ドーンという荒々しい物音。 妻君は....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
は先代茂木佐平治の句で、他に眞顏の碑が建って居ります「あらそはぬ風の柳の糸にこそ
堪忍袋縫ふべかりけれ」という狂歌が彫ってあります。大門を出ると、角に尾張屋と云う....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、わしにも一言いってくれるとよかった」 しかしながら宇治山田の米友は、この時、
堪忍袋《かんにんぶくろ》が切れたように飛び上って、 「駒井能登守、能登守……」 ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
りほかはない。 ばかにしている――三日目の夕方まで七兵衛が帰らないので、神尾の
堪忍袋《かんにんぶくろ》が綻《ほころ》びかけました。 この
堪忍袋。誰も
堪忍袋を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
夥《おびただ》しく火傷《やけど》をしながら苦しみ悶えている光景を見た時に、米友の
堪忍袋《かんにんぶくろ》が一時に張り切れました。 「ばかにしてやがら」 梯子の....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
かりの仕送りをしてその場をのがれていたが、ついに、それから四年ののち、ミーチャは
堪忍袋の緒を切らして、きれいさっぱりと父親との交渉をかたづけるために、またもやこ....
「博物誌」より 著者:岸田国士
の胡桃の樹を目がけて、若樹のなかから飛び出して行く。 しかし、時々は胡桃の樹も
堪忍袋の緒をきらし、その最後の葉を揺すぶり、我が家の黒い鳥を放し、そしてこう言い....