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場席
「場席〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
場席の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
のある柱の根で、角を劃切られたこの靠れ壁は、少し永く落着く定連客が占めるのを好む
場席であった。隅近くではあったが、それだけ中央の喧騒から遠去かり、別世界の感があ....
「わが町」より 著者:織田作之助
」 「どない書いたアるちゅうようなことは、もう手おくれや。そういうことを言うてる
場席でなし、大体このチラシというもんは……」 「おい。あいつも怪しいぜ、もうえ、....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
がちなものだが、この場合の庸三は特にも観劇気分が無残に掻き乱された。彼はしばしば
場席を出て、階段口まで出て行ったが、到頭入口まで出向いて行って、その時になっても....
「ズラかった信吉」より 著者:宮本百合子
た。 「じゃあ〔四字伏字〕と親類ぶんだハハハハ」 汽車が動いてる間でも、信吉の
場席へブラリと李がやって来るようになった。 「ホ。ホ。これだけの石油がウラルから....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
や》すもの、男も女も、若きも老いたるも、有頂天《うちょうてん》です。夜はまた広い
場席を借りて、商売の芸人を呼ぶことでは事足らず、おのおのの得意な芸づくしがはじま....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ないで、とうとう幕あきの拍子木を聞いたものですから、幕があいた以上は、きっと元の
場席に帰って来るだろうと、元のところへ帰って待っていてみたが、どうしても道庵が戻....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
場へ、お湯を酌《く》んだ桶《おけ》を積みあげ、ほどよく配置して、中央へその一党の
場席を大きく陣取って待ちかまえるのだ。馴《な》らされた小者は、他への気|兼《がね....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ん》が敷いてある。これが芝居道でいう一間《いっけん》――一桝《ひとます》なので、
場席《ばせき》を一間とってくれ、二間《にけん》ほしいなどというのだった。二間三間....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
免なさんしと云って来る人もある。朝、駅から電話がかかって、二十六日の「さくら」の
場席がとれました。多賀ちゃんはお母さんの持っていらっしゃる襦袢を縫っている。私は....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
にすぎなかった。だから、芸術になんらの感興をも見出し得そうにない人々が、騒々しく
場席係りへ行って急いで名前を記入するような、この小都市の流行好みの風潮を見ると、....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
子《むすこ》が、禁ぜられていたのを破って、彼女を芝居の試演に連れていった。二人は
場席の奥の暗い所にはいり込んだ。薄暗い中に輝いてる舞台の神秘さ、役者たちが言って....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
る二つの大きなかがり火のまん中に位置をしめた。こうなると見物はただ、中にはいって
場席を取れば、芝居は始められるのであった。 おやおや、いつまで見物の行列は手間....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
を走らせて去った。接見会では彼と話をした人は多くはなかった。彼は皆とは離れて狭い
場席に立っていたし、またモンセーニュールも彼に対してはもっと温かい態度を示しても....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
いた時、お孝には、もう施した。二人のためには手間は取られず、行方は知れぬ。こんな
場席を、仏智力、法力をもって尋ねるのは勿体ない。よって、魔魅や、魔魅の目と導きで....
「挿話」より 著者:徳田秋声
太は一度も入ったことのないその劇場が、どんな工合のものかと思って、入口へ寄って、
場席の手入れや大道具の準備に忙しい中を覗いてみたが、その時はもう絵看板や場代なん....