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「場末〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

場末の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文章」より 著者:芥川竜之介
」 「そりゃどうも、――大将格になった訣《わけ》ですな。」 葬列はもう寺に近い場末《ばすえ》の町にはいっている。保吉は中尉と話しながら、葬式を見に出た人々にも....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
思ったことはなかった。いや、寧ろ人並みよりも内気な女と思っていた。が、東京の或る場末に肴屋《さかなや》をしているお芳の兄は何をたくらんでいるかわからなかった。実....
」より 著者:芥川竜之介
も行って見ないか?」 僕は早速《さっそく》彼と一しょに亀井戸《かめいど》に近い場末《ばすえ》の町へ行った。彼の妹の縁づいた先は存外《ぞんがい》見つけるのに暇《....
或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
主筆 それは少し殺風景ですね。 保吉 殺風景でも仕かたはありません。達雄は場末《ばすえ》のカフェのテエブルに妙子の手紙の封を切るのです。窓の外の空は雨にな....
」より 著者:芥川竜之介
のか、大抵《たいてい》色彩のないことはなかった。わたしはある友だちと一しょにある場末《ばすえ》のカッフェらしい硝子戸《ガラスど》の中《なか》へはいって行った。そ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
すからお恥しゅう存じます。田舎も貴下、草深と云って、名も情ないじゃありませんか。場末の小屋がけ芝居に、お飯炊の世話場ばかり勤めます、おやまですわ。」 と菫色の....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
の松の前に、肩膝を透いて、毛氈の緋が流れる。色紙、短冊でも並びそうな、おさらいや場末の寄席気分とは、さすが品の違った座をすすめてくれたが、裾模様、背広連が、多く....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
じゃと、菖蒲団子の附焼を、はたはたと煽いで呼ばるる。……毎年顔も店も馴染の連中、場末から出る際商人。丹波鬼灯、海酸漿は手水鉢の傍、大きな百日紅の樹の下に風船屋な....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
、ほほほ。こりゃ、これ、かみがたの口合や。」 と手の甲で唇をたたきながら、 「場末の……いまの、ルンならいいけど、足の生えた、ぱんぺんさ。先生、それも、お前さ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
り触り、世渡は煩かしい。が近頃では、女房も見張りに馴れたし、亭主も段々古本市だの場末の同業を狙って、掘出しに精々出あるく。 ――好い天気の、この日も、午飯すぎ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
。若様、もうお忘れ遊ばしたでしょう、冷水は毒でございますよ。」 七場末ではあるけれども、富山で賑かなのは総曲輪という、大手先。城の外壕が残った水溜....
化鳥」より 著者:泉鏡花
少し揺れはしようけれど、折れて落ちるような憂慮はないのであった。 ちょうど市の場末に住んでる日傭取、土方、人足、それから、三味線を弾いたり、太鼓を鳴して飴を売....
親ごころ」より 著者:秋田滋
の、それも屋根裏のむさくるしい部屋で、三人で暮すようになった。その家はもう巴里も場末の、そのまた外れにあって、野ッ原のそばに建っていた。教会からはずいぶん遠く離....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
ある。 世間は、春風に大きく暖く吹かるる中を、一人陰になって霜げながら、貧しい場末の町端から、山裾の浅い谿に、小流の畝々と、次第|高に、何ヶ寺も皆日蓮宗の寺が....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
出来ない。いや、寧ろ全能の主の憎しみの証拠とさえ思われるであろう。しかし本所の或場末に小学生を教育している僕の旧友の言葉に依れば、少なくともその界隈に住んでいる....