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塑
「塑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
塑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
鞴《ふいご》のようにはずませていた。 博士コハクは灰白色の毒ガスの中に、まるで
塑像のように立っていた。夫人の苦しむ姿も目に入らぬようであった。なにかしきりと考....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
水戸記者も、ホーテンスと同じようにこの部屋に詰めていた。三人の記者たちはその隅に
塑像《そぞう》の如く停止し、ワーナー博士たちの観測を出来るだけ邪魔しまいと控えて....
「地球盗難」より 著者:海野十三
士とは、共に武夫少年の安否を気づかいながら、暫くは言葉もなく、その涼しい丘の上に
塑像のようにじっと並んで坐っていた。 そのうちにお美代はハッと気がついた。 「....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
すると、商人は言った。 「この珠はもう死んでいるから、役に立たない」 そこで、
塑像を作る人に廉く売って、仏像のひたいの珠に用いるのほかはなかった。 異姓....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
―あの蝋質撓拗性そっくりに筋識を喪った身体が、たちまち重心を失って、その場去らず
塑像のように背後に倒れたのだ。そして、その機みに、鍵と紐を裏側から蹴ったので、鎧....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
や独逸の「ヘスリンク」から此頃新着したばかりのもので、各種の図案粧飾、又は名画彫
塑の複製帖等、何れも精巧鮮美、目も覚めるようなものばかりであった。其価を云えば廉....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
たわけか?) さすがの帆村も呆然として、しばらくは春部のことも何もかも忘れて、
塑像のように突立っていた。 10 「先生、奥に何かあるようですわ。奥へ....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
いたのだが、先生の声におどろいて、その方をふりかえった。すると先生は蒼白にして、
塑像のように硬直していた。そして先生の眼は戸口へ釘づけになっている! 「あっ!」....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
たまま、本水の中を花道指して流れ行くのであった。 けれども、その時儀右衛門は、
塑像のように動かなくなり、釣竿を腕に支えたまま凝っと戸板の上を見詰めていた。 ....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
り込んで来て、部屋は雀色に仄めいて見え、その中にいる若い男女を、悩ましい艶かしい
塑像のように見せた。 横倒しになっている主税の足許に、その縁を白く微光らせなが....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
を堅く噛みしめながら、顫える指先で盛んに顳※のあたりをトントンと軽く叩きながら、
塑像のように立竦んでしまった。 ――妙だ……つまりここから、散広告が投げこまれ....
「火の扉」より 著者:岸田国士
家のアトリエである。それも、あちこちにブロンズや大理石の首がおいてあり、未完成の
塑像が片すみにおしやられているだけで、アトリエのぬしは彫刻をやるのだということが....
「印度の詩人」より 著者:国枝史郎
昇る雲雀の姿が見えて来るような詩でないことには、又衰え咲いている草花の間に欠けた
塑像が立っている、そこに寂しく、噴水が、忘れられた昔の歌をうたっている――そうい....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
って写真まで撮った。服部長八の漆喰細工の肖像館という見世物に陳列された椿岳の浮雕
塑像はこの写真から取ったのであった。 椿岳は着物ばかりでなく、そこらで売ってる....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
ロンドンのフィルハーモニック・ソサイエティー所蔵。ボンのベートーヴェン・ハウスに
塑像複製あり。複製写真はフリンメルの第七十四頁、および Musical Time....