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塔婆
「塔婆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
塔婆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
た。辻には、石でまわりを積んだ一囲いの土饅頭《どまんじゅう》があって、その上に石
塔婆《せきとうば》が二本、並んで、午後の日にかっと、照りつけられている。その根元....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
沢山あったが、皆康頼に伐《き》られてしもうた。伐って何にするかと思えば、千本の卒
塔婆《そとば》を拵《こしら》えた上、一々それに歌を書いては、海の中へ抛《ほう》り....
「心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
は投げ込み同様で、もとより墓標なども見えなかったが、それでも寺僧の情けで新しい卒
塔婆《そとば》が一本立っていた。 十年振りでめぐり合った父が直ぐにここの土にな....
「星あかり」より 著者:泉鏡花
閉出したのだと思うから、我慢にも恃むまい。…… 冷い石塔に手を載せたり、湿臭い
塔婆を掴んだり、花筒の腐水に星の映るのを覗いたり、漫歩をして居たが、藪が近く、蚊....
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
のでございます。 ――黒々と湿った土の上に、斜めに突きさされた真新しい奥様の卒
塔婆の前には、この寒空に派手な浴衣地の寝衣を着て、長い髪の毛を頭の上でチョコンと....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
野田山に墓は多けれど詣来る者いと少なく墓|守る法師もあらざれば、雑草|生茂りて卒
塔婆倒れ断塚壊墳算を乱して、満目|転た荒涼たり。 いつも変らぬことながら、お通....
「海亀」より 著者:岡本綺堂
木にひぐらしがさびしく鳴いていた。 見ると、妹の墓地の前――新ぼとけをまつる卒
塔婆や、白張提灯や、樒や、それらが型のごとくに供えられている前に、ひとりの男がう....
「慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
○○寺に参詣して、親子の新しい墓を拝む。時どきに大粒の雨がふり出して、強い風は卒
塔婆を吹き飛ばしそうにゆする。その風の絶え間にこおろぎの声きれぎれにきこゆ。――....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
ど淡く影を現している。舞台下手にちょっぽり枯田の畦が現れ、小さい石地蔵、施餓鬼の
塔婆など立っている。雲はだいぶ退いて行って、黎明前の落ちついたみずみずしい空の色....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
のは、余り身軽に和尚どのが、すぐに先へ立って出られたので、十八九年|不沙汰した、
塔婆の中の草径を、志す石碑に迷ったからであった。 紫|袱紗の輪鉦を片手に、 「....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
が横なぐりに撲りつけて、ヒイと引く息に潮を浴びせた。 杖は徒に空に震えて、細い
塔婆が倒れそうです。白い手がその杖にかかると、川の方へぐいと曳き、痩法師の手首を....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
ついて、帰りにゃあ箕輪の浄閑寺へ廻って、以前|御贔屓になりましたと、遊女の無縁の
塔婆に挨拶をして来やあがる。そんな奴も差配内になくッちゃあお祭の時幅が利かねえ。....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ませんが、あの、青苔が蒸して、土の黒い、小さな先祖代々の石塔の影に、真新しい白い
塔婆で、すっくりと立ってたのにはちょっと面食いました。――(八郎さん相撲……)と....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
所、小高い丘の下に、蓑で伏せて、蓑の乱れたような、草の蓬に包んだ、塚ともいおう。
塔婆、石碑の影もない、墓の根に、ただ丘に添って、一樹の記念の松が、霧を含んで立っ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
の梵雲庵は即ち椿岳の旧廬であるが、玄関の額も聯も自製なら、前栽の小笹の中へ板碑や
塔婆を無造作に排置したのもまた椿岳独特の工風であった。この小房の縁に踞して前栽に....