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塗抹
「塗抹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
塗抹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「俊寛」より 著者:菊池寛
の枝を、横にいくつも並べて壁にした。そして、近所から粘い土を見出して、その上から
塗抹した。彼は、この新しい家を建てるために、二十日ばかりもかかった。が、彼は自分....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
かけている。かくてその人は愛の逆用から来る冥罰を表面的な概念と社会の賞讃によって
塗抹し、社会はその人の表面的な行為によって平安をつないで行く。かくてその結果は生....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
楼は――わけても中央にある礼拝堂の尖塔や左右の塔櫓が、一|刷毛刷いた薄墨色の中に
塗抹されていて、全体が樹脂っぽい単色画を作っていた。
法水は正門際で車を停めて....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
、亜鉛華、麝香草、羊脂、魚膠、雷丸油、疱瘡で死んだ嬰児の脳漿、それを練り合わせた
塗抹剤……お着けすることに致しましょう」 髪を梳る音がした。 深い溜息が聞こ....
「運命」より 著者:幸田露伴
樵牧 日に相叩く。 嘯詠 寒山に擬し、 惟 道を以て自負す。 忍びざりき 強ひて
塗抹して、 乞媚びて 里婦に効ふに。 山霊 蔵るゝことを容さず、 辟歴 岡阜を破....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
、余の乃木大将夫妻では無い。余は厳に原文に拠って、如何なる場合にも寸毫も余の粉飾
塗抹を加えなかった。そこで、寄生木は、南部の山中から駈け出した十六歳の少年が仙台....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
然の動きは、絶えず障子の影絵にその脈搏を伝え、影は刻々にその以前の姿態と心持とを
塗抹し、忘却し、喪失して、それに更る新しい姿態と心持とを生み出している。その一刹....
「小春」より 著者:国木田独歩
で、ただ景色のいいに釣られてやるのですからでき上がって見ると、まるで景色の外面を
塗抹った者になるのです。』 『自然こそいい迷惑だ、』と自分は笑った。高台に出ると....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ては、あえて不正であらなければいけない。注入されたあらゆる賛美とあらゆる尊敬とを
塗抹《とまつ》し、すべてを――虚偽をも真実をも、否定し、真実だと自分で認めないす....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ていた。彼らはいつも、小心翼々として自分を監視することにつとめ、前に書いたものを
塗抹《とまつ》しようとつとめ、「おや、これは前にどこで読んだのかしら……」とみず....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
でも論じていた。それは実に、その後多くのすぐれた国民を襲い、言わばその出生証書を
塗抹《とまつ》したる、あの恐るべき国家的抑圧の典型となり標本となったのである。現....
「妖怪学」より 著者:井上円了
て、俗間に伝うるものを述ぶるに、小児の掌面に呪文三回墨書し、さらにその上を墨にて
塗抹して文字をして不明ならしめ、これを握ること暫時にしてその手をひらき見れば、そ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
椿岳の画は大津絵や絵馬のように単なる趣味一遍で鑑賞すべきものではない。僅に数筆を
塗抹した泥画の寸紙の中にも芸衛的詩趣が横溢している。造詣の深さと創造の力とは誠に....
「日本画と線」より 著者:上村松園
の日本画の為に涙が零れるような心持になります。 その人達に言わせますと、色彩の
塗抹は線が持ってくる効果よりも更に深く大きなものだと言うかも知れませんが、私は日....
「活人形」より 著者:泉鏡花
らるる目標となりて、職務上不便を感ずること尠からざる由を喞てども、巧なる化粧にて
塗抹すを常とせり。 倉瀬は鋭き眼にて、ずらりとこの家を見廻し、「ははあ、これは....