塗炭[語句情報] » 塗炭

「塗炭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

塗炭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
ぬと思ったからである。 「それは知れたことじゃ。向うへ口を開けるために、了海様は塗炭の苦しみをなさっているのじゃ」と、石工が答えた。 実之助は、多年の怨敵が、....
自転車日記」より 著者:夏目漱石
るに出られべき一方口が突然|塞《ふさが》ったと思いたまえ、すなわち横ぎりにかかる塗炭《とたん》に右の方より不都合なる一輛《いちりょう》の荷車が御免《ごめん》よと....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
本陣へ申し出よ。このたび進発の勅命をこうむったのは、一方に諸国の情実を問い、万民塗炭の苦しみを救わせられたき叡旨であるぞ、と触れ出されたのもこの際である。 こ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
どまらなかった。このたび進発の勅命をこうむったのは、一方に諸国の情実を問い、万民塗炭の苦しみを救わせられたき叡旨であるぞと触れ出されたのもあの時であった。徳川支....
富貴発跡司志」より 著者:田中貢太郎
ぎり、とても免れることはできない、まして普通一般の人民では天の佑が寡いから、この塗炭に当ることがどうしてできよう、しかし、これは運数が已に定まっているから、これ....
斗南先生」より 著者:中島敦
めば、我は進んで支那民族分割の運命を挽回《ばんかい》せんのみ。四万々生霊を水火|塗炭《とたん》の中に救はんのみ。蓋《けだ》し大和民族の天職は殆ど之より始まらんか....
法窓夜話」より 著者:穂積陳重
ル歟《か》、否《しから》ザレバ死ヲ与ヘヨト唱ヘシモ、英国ノ暴政ニ苦シムノ余、民ヲ塗炭《とたん》ニ救ヒ、一国ヲ不覊独立ノ自由ニセント死ヲ以テ誓ヒシコトナリ。当時有....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
ばらせて、舞鶴の紋の白い、萌黄の、これも大包。夜具を入れたのを引背負ったは、民が塗炭に苦んだ、戦国時代の駆落めく。 「何か、お前が出会した――黒門に逗留してござ....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
して感じるこの絶対的必要感、即ちその「赤化防止」感は云うまでもなく、北支の人民を塗炭の苦しみに陥れるものなどではない。否寧ろ、北支はこの日満側からする要求によっ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
原|邦武《くにたけ》と申されました。応仁の乱この方、天下が麻の如く乱れて、人民が塗炭の苦に落ちかけているのを、見ても聞いてもおられず、どうぞして、この世を救い、....
瘠我慢の説」より 著者:福沢諭吉
滑《えんかつ》に事を纏《まと》めたるは、ただその時の兵禍《へいか》を恐れて人民を塗炭《とたん》に救わんが為《た》めのみなれども、本来|立国《りっこく》の要は瘠我....
学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
口もって語るべからず、殺伐なるかな、野蛮の日本人は、衆生済度の教えをもって生霊を塗炭に陥《おとしい》れ、敵を愛するの宗旨によりて無辜《むこ》の同類を屠《ほふ》り....
妾宅」より 著者:永井荷風
曲をやや完全に演ぜんなぞと思立《おもいた》たば米や塩にまで重税を課して人民どもに塗炭《とたん》の苦しみをさせねばならぬような事が起るかも知れぬ。しかしそれはまず....
天草の春」より 著者:長谷健
減石の正道なることを誠意歎願したが、又もや不許可となつた。この上は一死もつて郡民塗炭の苦しみに代る外ないと、同年十月十五日赤心を披瀝した上向文を遺して、駿河台の....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
にはあるいはゴフンを塗るありて、一見鬼のごとき装いをなす。 顔色如。 (顔の色は塗炭のごとく、頭のよそおいは夜叉に似る。路傍に列をなして立ち、客に呼びかけて人力....