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塗物
「塗物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
塗物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「政談月の鏡」より 著者:三遊亭円朝
清「是は何《ど》うも恐れ入ります、残らず拝借致しても他の物と違いまして、瀬戸物や
塗物は瑾《きず》を付けた位で済みますが、着類《きるい》は着れば切れるもので」 ....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
三
「今にもう一人ここへ来て寝るそうじゃが、お前様と同国じゃの、若狭の者で
塗物《ぬりもの》の旅商人《たびあきんど》。いやこの男なぞは若いが感心に実体《じっ....
「家」より 著者:島崎藤村
煙草を燻しながら、叔父|甥は話し続けた。正太の方は実業に志し、東京へ出た時は主に
塗物染物のことを調べ、傍ら絵画の知識をも得ようとしたものであったが、性来物を感受....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
茶棚など桑や桐で指された凝った好みの道具がそこにぎっしり詰まっていた。葉子は桑と
塗物の二つか三つある中から、かなり上等な桑の鏡台を買ったが、そこの紹介で大通りの....
「鬼涙村」より 著者:牧野信一
しはないのではなかろうか。――頤骨がぎっくりと肘《ひじ》のように突き出て、色艶は
塗物のような滑らかげな艶《つや》に富み、濃褐色であった。額が木魚のようなふくらみ....
「蕎麦の味と食い方問題」より 著者:村井政善
説としてちょっと述べておきました、蕎麦道具でありますが、蕎麦屋側からいわせると、
塗物類は高価であるということであります。これはもっともな説で、他の飲食物の器から....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
牧、二十八歳の兄栄次郎がいた。二十五歳の姉|安は四年前に阿部家を辞して、横山町の
塗物問屋長尾宗右衛門に嫁していた。宗右衛門は安がためには、ただ一つ年上の夫であっ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
あった、一重《ひとかさ》ねの衣類でした。 竜之助は、その長い箱が白木であるか、
塗物であるか、寝棺であったか、長持であったか、まだわからない。その上にのせられた....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
切って売っていた。店内は日本の品物をもって埋まり、蓙・雨傘・浮世絵・屏風・茶碗・
塗物・呉服・小箱・提灯・人形・骨董・帯地・着物・行李・火鉢・煙草盆――一口に言え....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
。河村夫妻、熊野夫妻、鼻高々です。この二軒へは、まあ兄として謝意を表する意味で、
塗物に銀で扇面をちらしたシガレットケース一組ずつおくりました。〔中略〕
マア、....
「茶粥の記」より 著者:矢田津世子
て甲州入りだ。鮑はちょうど食べかげんのこたえられない味ですな。輪島産のも……あの
塗物で有名な能登の輪島ですな、あそこの鮑も結構なもんです。鮑の中のお職ですな。外....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
られたのは、あわれ白酒であったのである。 さて、お肴には何がある、錦手の鉢と、
塗物の食籠に、綺麗に飾って、水天宮前の小饅頭と、蠣殻町の煎豌豆、先生を困らせると....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
す》で粉にさせる。もし洗えば天日《てんぴ》で干すと碾《ひ》きにくいから水を切って
塗物《ぬりもの》の箱へ入れて乾かすのだ。それを蒸す時は水で少し捏《こ》ねてそれを....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
直していられない。イヤいられないのではない、直す力がないのだ。四角に削った木地を
塗物屋《ぬりものや》へ持って行って円《まる》い盆《ぼん》に仕上ろと言ってもとても....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
くうねって行く。原はそう広くはないが長さは五、六町ある。元は此処に人家があって、
塗物の木地を造っていたのだそうだ。自然を虐待して自然から虐待された山人の生活の頼....