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塚穴
「塚穴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
塚穴の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
啣えて行かれた。 彼女はすでに死を覚悟していると、行くこと六、七里にして大きい
塚穴のような所へ行き着いた。虎はここで彼女を下ろしたので、どうするのかと思ってよ....
「殺神記」より 著者:田中貢太郎
めた。村の人は元振を先頭に立てて、血の滴を随けて二十里ばかりも往った。 大きな
塚穴があって前足の一方を切られた野猪が唸っていた。村の人は
塚穴の口で火を焼いて煙....
「崔書生」より 著者:田中貢太郎
りましたから、不思議に思って、ここを掘ってるところでございます」 そこは大きな
塚穴の口であった。 崔と僕はその
塚穴を掘ってみた。中に石があってそれに刻んだ文....
「嬌娜」より 著者:田中貢太郎
見て夢の寤めたような気になった。 そこで一門が一室に集まって喜んだ。孔生は皆を
塚穴の中に久しくいさしてはいけないと思ったので、皆で自分の故郷へ往こうと言った。....
「死者の書」より 著者:折口信夫
其でも変に、おじけづいた心を持ちかけていた。も一度、 こう こう こう。 其時、
塚穴の深い奥から、冰りきった、而も今息を吹き返したばかりの声が、明らかに和したの....
「悲しめる心」より 著者:宮本百合子
の墓地につれられた。 赤子のままでこの世を去った弟と頭を合わせて妹の安まるべき
塚穴は掘ってあった。 私はその
塚穴の前に立った。 柩の両端に太い麻繩は結いつ....
「胚胎」より 著者:宮本百合子
私などは、死ぬ事より恐ろしい悲しい事は無いと存じます。 あの暗くてじめじめした
塚穴に入れられるのかと思いますと―― 死ぬ、その時になっても私は、「生きたい」....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
《あがな》いに来る奇怪な市場たる外国人の町々、皿《さら》数のきまった食事、動物の
塚穴《つかあな》の中に投げ捨てられた獣肉の濫費、子馬の声に音を合わせる娯楽場の音....
「イオーヌィチ」より 著者:神西清
て、依然こころ待ちに待ちながら、こんなことも考えていた――一体ここには、その辺の
塚穴の中には、どれほどの婦人や少女たちが、かつては美しく蠱惑にみちて、恋いわたり....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
しあり》』……早口に棒読みにすると、なにかもっともらしく聞えるが、要するに、南の
塚穴の中に蛇がいて、その蛇の中には糞《くそ》がある、という愚にもつかないことを音....
「周防石城山神籠石探検記」より 著者:喜田貞吉
貸し渡さざるに至れり云々との伝説あり。 とある。かかる俗伝は斎瓮土器等を蔵する
塚穴につきて往々存するもので、本誌にも掲載してある報告中に鳥取県にも同一の伝説を....
「特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
居所を有しないのみで、家族を率いて次から次へと雨露を凌ぐに足る様な適当な岩窟や、
塚穴などを見付けて臨時の住家とし、笊や箕や竹籠などを造っては、その付近二三里の場....
「どら猫観察記」より 著者:柳田国男
彼等の領分であって、倒れ横たわる聖火神殿の石柱の上にも、新たに掘り出された旧王の
塚穴の中にも、いつ往っても人を見て跳り逃げる彼等の姿を、見ない日は無いのである。....