»
塞
「塞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
塞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
き残りました。ほとんど町中を焼きつくした火と煙とに追われながら、小山のように路を
塞《ふさ》いだ家々の屋根の間をくぐって、ようやく危い一命を拾ったのでございます。....
「母」より 著者:芥川竜之介
》しながら、何ともその問に答えなかった。何か人力に及ばないものが、厳然と前へでも
塞《ふさ》がったように。
(大正十年八月)....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
よあすこに並べてある銅板画にでもありそうな光景です。そう云えばあの仏蘭西窓の外を
塞《ふさ》いで、時々大きな白帆が通りすぎるのも、何となくもの珍しい心もちで眺めた....
「彼」より 著者:芥川竜之介
茶の渋《しぶ》のついた五郎八茶碗《ごろはちぢゃわん》を手にしたまま、勝手口の外を
塞《ふさ》いだ煉瓦塀《れんがべい》の苔《こけ》を眺めていた。同時にまたちぐはぐな....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
う事が明かになった。その内にもう秋風が立って、城下の屋敷町の武者窓の外には、溝を
塞《ふさ》いでいた藻《も》の下から、追い追い水の色が拡がって来た。それにつれて一....
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
前にまだこう云う事があった。あいつが電車へ乗った所が、生憎《あいにく》客席が皆|
塞《ふさ》がっている。そこで吊《つ》り革《かわ》にぶら下っていると、すぐ眼の前の....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
く。」
下人は、老婆が死骸につまずきながら、慌てふためいて逃げようとする行手を
塞《ふさ》いで、こう罵《ののし》った。老婆は、それでも下人をつきのけて行こうとす....
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
も充ち満ちて在《まし》ますと云うは、真如法性《しんにょほっしょう》本分の天地に充
塞し、六合《りくごう》に遍満したる理《ことわり》を、聞きはつり云うかと覚えたり。....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、油火の光を全身に浴びて、顔中に怒りを漲《みなぎ》らせながら、小山のごとく戸口を
塞《ふさ》いでいた。若者はその姿を見るや否や、死人のような色になって、しばらくた....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
ちまち躍ったり跳ねたりし出したのはむしろ当然ではないであろうか? かつまた当時は
塞外《さいがい》の馬の必死に交尾《こうび》を求めながら、縦横《じゅうおう》に駈《....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
?」「御客様の御用で半紙を買いに――」――こう云うお敏の言葉が終らない内に、柳に
塞がれた店先が一層うす暗くなったと思うとたちまち蚊やり線香の赤提燈の胴をかすめて....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
子をかぶり、長いマントルをまとっている。彼はその上半身に殆《ほとん》ど洞穴の外を
塞《ふさ》いだ時、ちょっと立ち止まって空を見上げる。
27
星ばかり....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
こう云う経験を前にも何度か持ち合せていた。歯車は次第に数を殖やし、半ば僕の視野を
塞いでしまう、が、それも長いことではない、暫らくの後には消え失せる代りに今度は頭....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
る」 遠藤が次の間へ踏みこもうとすると、咄嗟に印度人の婆さんは、その戸口に立ち
塞がりました。 「ここは私の家だよ。見ず知らずのお前さんなんぞに、奥へはいられて....
「寡婦」より 著者:秋田滋
空地の前まで来ると、あたりには白い靄がいちめんに立っておりました。林の隙間を月が
塞ごうとするかのように、綿のような靄がいちめんに漂っておりました。すると、その子....