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塩気
「塩気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
塩気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
いよく右往左往に散歩していた。田川夫人の姿はそのへんにはまだ見いだされなかった。
塩気を含んだ冷たい空気は、室内にのみ閉じこもっていた葉子の肺を押し広げて、頬《ほ....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
、あの婆さんの打った蕎麦だと醤汁はいらねいぜ」 長「なぜ」 兼「だって水洟で
塩気がたっぷりだから」 長「穢ねいことをいうぜ」 と蕎麦を少し摘んで喰ってみ....
「足迹」より 著者:徳田秋声
想い出された。 お庄は気爽に、「ハイ。」と言って、水口の後の竿にかかっていた、
塩気の染み込んだような小風呂敷を外して瓶を包みかけたが、父親の用事をするのが、何....
「春昼」より 著者:泉鏡花
、やはり心がありますよ。」 「心があられてはなお困るじゃありませんか。」 「否、
塩気を嫌うと見えまして、その池のまわりには些ともおりません。邸にはこの頃じゃ、そ....
「火薬船」より 著者:海野十三
は、それほど目立ったものではありませんが――まあもう一つは、つまりソノ、潮風とか
塩気に当りますと、くろい汚点が出てまいりますんで」 といって、モロは、ポーニン....
「雁坂越」より 著者:幸田露伴
く触るから、ごくごく浅い疵ではあるが松葉でも散らしたように微疵が顔へつく。そこへ
塩気がつく、腥気がつく、魚肉が迸裂て飛んで額際にへばり着いているという始末、いや....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
の下あたりから次第に子産石の浜に消えて、どこへ灌ぐということもない。口につけると
塩気があるから、海潮がさすのであろう。その川裾のたよりなく草に隠れるにつけて、明....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
這入って、小さくなって洗うのです」 幸「是は恐れ入ったねえ」 由「だが好い湯で、
塩気があって透通るようで、極綺麗です、玉子をゆでて居る奴があるので、手拭に包んで....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
よって、此歌も亦人麿作だろうと想像することが出来るであろう。巻二(一六二)に、「
塩気のみ香れる国に」の例がある。 他の三首は、「黄葉の過ぎにし子等と携はり遊び....
「話の種」より 著者:寺田寅彦
では菓子に粘土を使う。ボリビアでは馬鈴薯に粘土のソースをかけて食う。ペルシアでも
塩気のある土を食う。それからセネガル地方では米に土を交ぜて食うが、これは単に腹を....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
かもの淋しく微笑んで、一|艘の小船を仕立てさせた。 次第に、フローラの体には、
塩気が粘りはじめて、岩城の頂きが、遠く亡霊のようにぼんやりと見えた。うねりは緩く....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
こでもまたお芳の漬物上手なことを話し出したが、そのあとで、 「じゃが、本人は少々
塩気が足りませんのでな。これはお母さんにこれから程よくもんでいただかなければなり....
「衰えてきた日本料理は救わねばならぬ」より 著者:北大路魯山人
いたいものです。そして新鮮なものは、新鮮なもののように、さっと煮て、他に少し濃く
塩気をつけて、中はだしを浸まさないでそのものの持ち味と香気とが充分に出されるよう....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
浪が頭から打被さったように感じて、寐台の上に引いて行かれたような心地。口の中には
塩気を覚えた、大方歯からの出血であろう。彼は泳がんとするもののように両手を動かし....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
、もっと熱くしておくれ、肴ア何か一|品ばかり摘んで持って来ておくれ、何でも宜い、
塩気せえ有れば宜いやア、おいお爺さん、今日のう寅の野郎と己と二人で新橋に客待をし....