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「塩辛い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

塩辛いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
に、一々、舌の上に載せて味ってやるんですよ。獣のいのちの名残りにしてそれには淡く塩辛いのもあり、いくらか甘くて――」 といいかけたとき、女は急いで袖を自分の鼻....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
汽車のない時の事であった。山の男と海の男が喧嘩《けんか》をした。山の男が魚は塩辛いものだと云う。海の男が魚に塩気があるものかと云う。喧嘩はいつまで立っても鎮....
苦力頭の表情」より 著者:里村欣三
て、苦力どもを罵っていた。 昼飯の時、苦力のひとりが俺にマントウと茶碗に一杯の塩辛い漬物を食えと云って突き出した。いくら腹が減っていても、バラバラした味気のな....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
くふるえている瞼には、すでに毒だった。かの女は顎を寒そうに外套の襟の中へ埋めた。塩辛い唾を咽喉へそっと呑み下した。 かの女のむす子はM地区の学校を出て、入学試....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
からおふき婆さんまでが右に左にからだを振り動かしながら手を拍って調子を合わせた。塩辛い声を振り揚げる髪結い直次の音頭取りで、鄙びた合唱がまたそのあとに続いた。 ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
か、王滝川まで上って来る河魚ぐらいに限られている。たまにこの山里へかつがれて来る塩辛い青串魚なぞは骨まで捨てることを惜しみ、炉の火にこんがりとあぶったやつを味わ....
爆薬の花籠」より 著者:海野十三
と輝きだした。 「ほう、この花は、非常に煙硝くさい。おや、それに、なめてみると、塩辛いぞ、海水に浸っていたんだ。すると、この花は、船の上にあった花ではない、海の....
火薬船」より 著者:海野十三
るのかもしれない。 どどーンと、大きな水音がした。 「どうだ。後の奴も、海水の塩辛いところを嘗めて来たいか。希望者は、すぐ申出ろ」 と、威風堂々と、あたりを....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
むを得ず一カ月一回位は行くが、ことに顔そりは嫌いだ。職人はかみそりを持って、その塩辛い指で私のくちびるを引張り廻すのである。それから頭を洗ってからポマードか何か....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
はぐろ溝へ、黄袋の唾をしたような異味を、べろりべろり、と嘗めては、ちびりと飲む。塩辛いきれの熟柿の口で、「なむ、御先祖でえでえ」と茶の間で仏壇を拝むが日課だ。お....
ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
。上さんは顔の赤い肥った女で、亭主は跛であった。そこで僕は、分量の多いソップと、塩辛い料理とを食べた。町内に住む上さんが来て此処の亭主と何か話しているのを聞くと....
幻の彼方」より 著者:豊島与志雄
くなって、髪の毛穴がぞーっとした。真白な骨片を一枚取って、歯でがりがりとやった。塩辛い味がして口の中で融けて無くなった。手に残ってるのを、またがりがりとやった。....
魔味洗心」より 著者:佐藤垢石
一部にしか知られていないものに、鮭の子の珍味がある。私は子供の頃、鮭といえばあの塩辛い、塩引きばかりと思っていたのに、わが上州にも鮭の子が生まれるのであるから驚....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
の学問が紅白粉のお化粧同様である事、真の人間を作るには学問教育よりは人生の実際の塩辛い経験が大切である事、茶屋女とか芸者とかいうような下層に沈淪した女が案外な道....
面白味」より 著者:中谷宇吉郎
クドクと注ぎ込むので、大分過剰にはいったらしい。 食べてみると、果《はた》して塩辛い。「どうもこれは辛いようだが」と聞いても、先生すましたものである。「いい牛....