塩辛声[語句情報] » 塩辛声

「塩辛声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

塩辛声の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
なたお持ちになるがいい。外国にいて文《もん》なしでは心細いもんですよ」 と例の塩辛声《しおからごえ》でややふきげんらしくいった。その言葉には不思議に重々しい力....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
かみのけ》を額《ひたい》に振分《ふりわ》け、ごろごろと錫《しゃく》を鳴らしつつ、塩辛声《しおからごえ》して、 「……姫松《ひめまつ》どのはエ」と、大宅太郎光国《....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
き返って来る。 「出すべ」 そのさざめきの間に、潮で※び切った老船頭の幅の広い塩辛声が高くこう響く。 漁夫たちは力強い鈍さをもって、互いに今まで立ち尽くして....
爆弾太平記」より 著者:夢野久作
肝を抜かれたが、間もなく非常な興味をもって、皆と一緒に傾聴した。 友吉おやじの塩辛声は、少々上ずっていたが、よく透った。ことに頭から日光を浴びたその顔色は頗る....
旅愁」より 著者:横光利一
番頭に褒めて云った。 「そうですが。皆さん風呂場だけは、まア褒めて下さいます。」塩辛声の番頭を前にして、矢代は、ハンガリアのダニュウブ河の岸にあった温泉を思い出....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
の細い、幽な、空を通るかと思う雨の中に、図太い、底力のある、そして、さびのついた塩辛声を、腹の底から押出して、 (ええ、ええ、ええ、伺います。お話はお馴染の東京....
随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
婆さんがどうしたとかいう奇妙なくすぐりがあったように覚えているが、もちろんこれも塩辛声で、てんで法返しのつかない代物だった。そのあとで今の音曲師は本筋の都々逸の....
小説 円朝」より 著者:正岡容
り見るガチャ鉄の蛮勇には歯が立たず、強そうな朋輩たちがでろれん祭文のような鍛えた塩辛声でガチャ鉄から頭ごなしに怒鳴り付けられているのを見ると、いっぺんでピリピリ....
初看板」より 著者:正岡容
すぐ脇の一膳めし屋へ、額へ即効紙を貼った汚い婆さんがジャカジャカ三味線を弾いて、塩辛声で瞽女唄《ごぜうた》のようなものを歌って門付《かどづけ》をやっているんです....
わが寄席青春録」より 著者:正岡容
者たる私、快無上である。同時に剣戟映画の弁士の真似(それはあくどい上方流)をして塩辛声に咽喉《のど》を潰してしまったおかげで、今日、容易にあの先代春團治の一種し....